アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
自然歩道調査②
2021年11月24日一夜(ひとよ)にて 真白き羽衣 まとう峰
龍住む湖(うみ)に 長き冬の音(ね)
降りしきる雪の通勤路で、歌の文句を考えながら走っていると、倒木による通行止めでした。
少し遠回りの道路に迂回したら、そちらも通行止め、解除を待つしかありません。
通行止め解除を待ち、2時間遅れでの出勤となりました。
倒木の処理は終了して通行止めが解除された後も、坂を登れないトラックが牽引されて走っているので、
時速5キロほどで進みます。発荷峠にぬけると湖は一面の銀世界でした。
さて、秋も深まってきた11月15、16日、先日お伝えした八戸から十和田湖に繋がる
歩道調査に行ってきました。
15日は、十和田湖畔宇樽部から十和田神社までの道と、五戸から十和田市までの半分の行程です。
(前半は以前の日記をご覧ください)
五戸から十和田市までの道のり:<http://tohoku.env.go.jp/blog/2021/11/post_795.html>
16日は奥入瀬渓流、焼山から子の口までの14キロの行程です。
今回は15日の行程のご紹介をします。
八戸から始まる自然歩道は、途中の町並、街道、田園風景や八甲田の山並などを眺めながら進み、
奥入瀬渓流を経て、十和田湖にたどり着き、十和田山に登り十和田湖を眺め(この様子は下記のURL)
再び外輪山に登り十和田湖を眺め、十和田神社に繋がっています。
十和田山の調査の様子:<http://tohoku.env.go.jp/blog/2021/05/post_667.html>
15日の調査は、この自然歩道のフィナーレに相応しい風景が待っているでしょうか?
十和田湖畔宇樽部からスタートです。櫛ヶ峰は白く覆われ初めています。
葉っぱがすっかり落ちて青い空が良く見えます。
キャンプ場は閉鎖されていますが、冬期もカヌーツアーは行っています。
いつも車でばかり通る道ですが、冬枯れの道から眺める十和田湖や御倉半島が新鮮です。
登り切ると、瞰湖台展望台に到着します。
十和田湖の展望地の中では、平成18年の宇樽部トンネル開通以来、訪れる人の少ない場所ですが、
ここから眺める夕日は格別です。
中山半島が龍のように横たわっています。
雲ゆきが怪しくなり、休憩すると身体が冷えてしますので、先に進みます。
冷たい雨が降ってきました。休屋へ急ぎます。休屋の玄関口にある大きなイチョウの樹は
すっかり葉を落とし、雪が降るのを待つばかりです。
降り始めた雨にすっかり身体が冷えてしまい、ゴールの十和田神社でゆっくりしてもいられず、
昼食をとるため管理事務所に帰りました。
十和田神社の写真を撮るのをすっかり忘れていました。
ですので、少しまえの晴れた日の十和田湖の風景をご覧下さい。
桂浜の紅葉したサクラと、十和田神社に続く開運の小路の入り口の風の神。
ゴールの十和田湖は季節や天候により様々な表情があります。
優しく、厳しく、時には激しく、訪れる人を待っています。
皆さんはどんな十和田湖に出会えるのでしょうか。
昼食後は、十和田市の道の駅に移動して、五戸から十和田市の半分の行程を逆から歩きます。道の駅おいらせからスタートです。
まず、刈り取りの済んだ田園風景の中や、大きなお屋敷のある集落の中を歩きます。
牛を飼っているお家の方としばし談笑、帰ろうとしたらこんな風に顔を出してびっくりしました。
牛は何だか他人とは思えません。
五戸周辺の生け垣はオンコ(イチイ)を多く見かけます。
この地方では、子供が生まれるとイチイの木を植える風習があるのだそうです。
十和田山や、戸来岳にはイチイの木が群生していました。土地の気候に合った樹木なのでしょう。
以前にもお伝えしたように、実は甘くて美味しいですが、種には毒が含まれていますので、
お気をつけください。
たわわに実ったオンコの実と、刈り込んだオンコがきれいに並んでいる。
今回は、本来のコースを逆に歩きましたが、振り返ると八甲田がうっすら見え、おまけに虹も出ました。
集落に突如現れた私達にびっくりした方に、UFOから下りて来たのかと言われました。
それだけ、普段は歩いている人がいないのでしょう。
スギとヒバの林が隣り合っています。
二十三夜塔という石碑がたくさんあります。
二十三夜とは、民間信仰の一つで、この地域では特に女性が集まって、飲食や雑談をする
習わしがあったそうです。
秋の日は釣瓶落とし、あっという間に月が昇り、前回の五戸から十和田市までの半分のゴール地点に
到着して、当日の調査は終わりました。
翌日は奥入瀬渓流14キロの調査です。
これも二十三夜塔の一つです。
明日も晴れますように。