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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

春の使者

2021年03月05日
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

弥生とはいえ、氷点下に冷え込んだ朝は、木々の霧氷がキラキラ輝き、穏やかな湖面にはガラスのような氷の膜がはり、言葉にならない美しさです。

車を停めてカメラを構えている方をちらほら見かけました。自分はスマートフォンカメラですが、4日の朝の風景をお届けします。

〈この上を歩いて行けそうだと思いました〉

〈4年前に着任してすぐに、白きたおやかなる峰と勝手に名付けた櫛ヶ峯〉

※手前の御鼻部山は標高1010m。車道と展望台があり、晴れた日は岩手山が遠望できます。

〈十和田三山と休屋;今日も一日見守ってくださいと祈る〉

〈お馴染みの風景:ひょっこりひょうたん島と名付けています〉

〈誰の足跡でしょう?:湖畔に下りて踏み抜いた私の足と手の跡です〉

〈春はまだですか?と顔をのぞかせているマンサク:くるくるの花弁を控えめに広げています〉

思えば、十和田湖に来てから毎年この時期は、マンサクとカツラを追いかけているように思います。けして派手さはありませんが、きびしい冬を乗り越えて真っ先に私達に春の彩りを運んでくる可愛らしい子達が、とても愛おしくてたまりません。過去の日記を振り返ると、マンサクとカツラの写真ばかりです。3月になると毎回のようにマンサク載せていましたね。

(日本海側は主にマルバマンサクで、少し色が薄いと言われていますが、交雑種も多いです)

(昨年の日記に掲載したマンサクの様子です)

http://tohoku.env.go.jp/blog/2020/03/post_516.html

http://tohoku.env.go.jp/blog/2020/03/post_514.html

http://tohoku.env.go.jp/blog/2020/03/post_512.html

冬の間は自然の中で五感を働かせようにも、凍てつく空気が五感を鈍らせるようです。しかし3月に入ると、春の色や香りがあちこちにあふれ出し、身体中の細胞を刺激するような気がします。マンサクのイエローとカツラのピンク、そしてその香りは砂糖菓子と肉桂のように感じられ、食欲をそそります。香りや虫の少ないこの時期に、マンサクが繁栄するための手段でしょうか。また、枯れ葉が香るという通説のカツラは、若葉の頃も香ります。(樹木を害虫から守る香りとも言われます)樹木のそばを歩く時は、少し立ち止まって嗅覚を研ぎ澄ませてみてください。

マスクを外して、思いっきり深呼吸したいですね。

なかなか落ち着かないご時世ではありますが、こんな時だからこそ、物事をじっくり見たり考えたりする機会かもしれません。

自分自身は外に出るといつも、花や空や木々に見とれたり、まじまじと細部まで見てしまったりして、肝心の業務の写真が一枚足りなかったりということが良くあります。高い場所にあるマンサクやカツラの花を、背伸びして首が痛くなるまで凝視して、カメラを向けている姿を想像してみてください。

そんな業務中に撮影した写真を展示した「十和田八幡平国立公園写真展」の、今年度最後の会場となる、鹿角市文化の杜交流館「コモッセ」では310日までの間、開催しております。図書館では、普段は書庫にある八幡平の貴重な資料の展示もしています。最終日の10日は、私と鹿角のアクティブレンジャーが10:00~15:00の間、写真の解説等をしながら会場にいますので、お近くにお越しの際にはどうぞお立ち寄りいただき、ご意見をいただけたら幸いです。

10日は、アンケートにお答えいただいた方へ、展示写真で作製したポストカードを用意しています。

〈展示写真の1枚〉

どうぞよろしくお願いいたします。

最後に、4年目にして初の、十和田湖と私の写真を勇気を持ってご披露します。

業務で自分の写真を撮る必要があり、人に撮られるのが苦手な自分は、湖畔で自分で撮影して提出したところ、背景が大きく写った写真が欲しいと言われ、再度撮影することになりました。

村田アクティブレンジャーに撮影をお願いして、何とか業務完了しました。

思えば、いつもファインダーをのぞいているけれども、自分を撮ってもらうことは皆無でしたので、とてもいい記念になりました。ありがとうございました。

〈不採用写真:撮影者 伊藤〉       〈採用写真:撮影者 村田〉

今後とも十和田湖と伊藤をどうぞよろしくお願いいたします。

〈穏やかな一日の終わり:3/4 十和田ビジターセンター前の夕景〉