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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

開花宣言

2020年03月04日
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

湖畔を渡る風から、マンサクの花の囁きが聞こえた気がしたのです。

きっと待っているに違いない。

しかし、昨日はどっかりと重い雪が降りました。

モノトーンに逆戻りの十和田湖畔です。

  

【雪景色の恵比寿大黒島】

カツラは、モノトーンだった外輪山にいち早く春の訪れを知らせてくれる花ですが、

私がそれと同じくらい開花を心待ちにしているマンサクの花が微笑んでいました。

十和田湖畔の一番花です。

  

【微笑むマンサクの枝にとけた雪が凍り付いている】

信州地方では、寒のうちに花が咲くので「トキシラズ」とも呼ばれています。

秋田には「まんさくの花」という銘酒もありますね。

愛飲しているクロモジ茶のクロモジの花芽も、マンサクの側でそっと春を待っているようでした。

(クロモジ茶にするのはもちろん国立公園外で採取したものです。)

  

【クロモジの尖った葉芽(葉が出る芽)と丸い花芽(花が咲く芽)と綿毛で守られている枝】

クロモジ茶は地域により「ふくぎ茶」とも呼ばれ、飲めば幸せになれるといわれるそうです。

枝や樹皮からとれる「烏樟(ウショウ)」「釣楠(チョウショウ)」と呼ばれる生薬は薬用酒に使われます。

和菓子に添える高級爪楊枝の材料でも有名ですね。

千葉県の伝統工芸品で「雨城楊枝」というものもあります。

大地は雪に覆われ、時折吹雪いたりすることもある弥生の空ですが、木々はほころび、

白鳥の北帰行の声が響きわたり、近づく春を感じます。

五感で春を感じる十和田湖畔です。

  

【御前ヶ浜のヤナギ】

  

【御前ヶ浜からのぞむ兜島、鎧島、鉛山と大川岱方面】