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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

白神山地にいる動物たち

2018年04月02日
白神山地 佐々木 春佳

みなさんこんにちは。新年度が始まりましたね。

近頃、遺産センター前の雪もほとんど溶けて、西目屋もだいぶ春らしくなってきました。

しかし、そうは言うものの白神山地への道路はいまだ冬季閉鎖されており、開通まではもう少し待つことになりそうです。野外に出られないこの間、私は自動撮影カメラで撮影した画像データの解析をしていました。

西目屋自然保護官事務所では、白神山地世界遺産地域やその周辺(以下、白神山地)に生息する哺乳類を調べることを目的に、自動撮影カメラ(以下、カメラ)を使った調査を続けています。昨年も話題に多かったニホンジカの侵入もこの調査で撮影しました。昨年4月から12月まで行った調査の様子は過去の日記をご覧ください。

杉林の中を歩くニホンジカの白黒写真

11月に撮影した角が立派なオスジカ]

ニホンジカに限らず、カメラに何が写ったかは人の目で確認します。11枚を確認する作業は地道ですが、中には動物たちの決定的な姿も確認できます。ここからは、調査中に撮影した動物たちの姿をみなさんに紹介します。

次の3枚は全て同じ地点で撮影した写真です。このように、ツキノワグマなどの多くの動物たちが通る獣道にカメラを設置することが多いです。

カメラ目線で写るツキノワグマ[勇ましい姿ですが、このあと、カメラに向かってくる姿も収まっていました。]

カメラ目線で写るキツネ

[調査中一番きれいに撮れていたキツネの写真]

画像データを回収に来た職員の姿[彼らの大きさが分かるようにヒトの姿を参考に。]

撮影した写真からは、どんな動物がいるかという事以外にも分かることがあります。

例えば、次の写真は201757日に撮影したテンですが、写真からこの時期にはまだ顔が白く、冬毛の一部が生え替わっていないことが分かります。ちなみに、夏毛になると顔は黒くなります。

カメラ右白から現れたテンの姿。全身が黄色の毛、顔は白く、鼻先は黒い[鼻先は黒くなっていますね。]

テンの他にも・・・

ニホンノウサギ(以下、ウサギ)、特に東北地方に生息するものはトウホクノウサギと言って冬になると毛が白く生え替わります。次の2枚は同じ地点で11月に撮影したウサギの写真です。見比べると、一週間で雪が被って、あっという間にウサギの毛も白くなっていることが分かります。

(正確に言うと、この2枚に写ったウサギが同じウサギかどうかまでは分からないので、本当に一週間で白くなったかまでは分かりません。それぞれ違うウサギの可能性もあります。)

夏毛のウサギの姿。地面には落ち葉が覆う。2017115日撮影]

冬毛のウサギの姿20171113日撮影]

普段、野生動物は私たちの目に触れる機会が少ないので、カメラで撮影しなければ、動物たちの毛がいつ生え替わったか詳しくは分かりませんね。

毛の生え替わり時季の他にも、調査から分かることがまだあります。それは、動物たちが白神山地で繁殖しているかどうかです。

次の3枚には子ども(幼獣)と思われる体のサイズが小さい獣が写っています。

カメラの前で座っているニホンザルの姿[左に子ども、右に毛繕いをする大人の3頭のニホンザル]

左の林から出できたニホンジカの幼獣[カモシカの子ども。写真には大人はおらず1頭だけでした。]

秋、林道を歩く親子グマ[母グマと子グマと思われる3頭のツキノワグマ]

さらに、幼獣の大きさや、撮影の時期から分かる情報もありますので、お好きな方はじっくり見てみてください。

調査のことを詳しく知りたい方はHPをご覧ください。昨年度までの調査結果を知ることができます。

○白神山地世界遺産センター(西目屋館)HP>モニタリング計画 > 動物 > 動物相

http://tohoku.env.go.jp/nature/shirakami/monitoring/monitoring2b-2-1.html