アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
白神山地の大きい生き物
2017年02月15日西目屋自然保護官事務所の野原です。
またまた、センサーカメラの調査結果から白神山地に生息する生き物を紹介したいと思います。
前回は小動物を紹介したので、今回は調査対象でもある大型の動物を紹介します。
http://tohoku.env.go.jp/blog/2017/02/post_201.html
↑前回の日記
↑カモシカです
この写真を撮影した調査地点は、ニホンジカの侵入経路の監視のために設定した場所で、世界遺産地域よりも里に近い場所になります。
カモシカは国の特別天然記念物に指定されていますが、人里近くまで山から下りてくるので、けっこう身近な存在です。
カモシカはシカという名前がついていますが、鹿とは違い牛の仲間で、基本的には単独で縄張りを持って生活しているそうです。
この場所は何頭かのカモシカの縄張りの一部もしくは通り道のようで、同一個体と考えられるカモシカが頻繁に撮影されます。
↑ある6月の春の日の写真
基本的には単独で生活しているカモシカですが...
3連写で撮影している写真の内1枚を拡大して見ると...
子カモシカが!!
まだ産まれてからそんなに時間がたっていないのか、お母さんと比べると小さくて可愛いです!
↑7月
お母さんにくっついて歩いています。幼獣は、生後1年間は母親と生活するそうです。
↑9月
お母さんが近くにいますが、それぞれのんびりと食事中のようです。
ずいぶんと大きくなったような...?
↑同じく9月。2ヶ月で急成長!?
ぱっと見ただけではどっちが子どもか分からないくらい大きくなりました。
西目屋自然保護官事務所では、今年度は全部で32台の定点カメラを設置しており、誤作動の写真(葉っぱが風で揺れた動きに反応して撮影した写真など)も含めると、かなり膨大な数の写真を集計することになります。
一枚一枚確認して何の動物か同定する作業は、なかなかの大仕事です。
目が疲れる大変な作業ですが、ほのぼのした写真を見ながら親子の成長観察などをしていると、とても癒やされます。
結果として公表しているのは撮影した動物の数だけなので、こんな写真もいつもは私が1人で楽しんでいました。
↑オマケ...私が個人的に気に入っている子カモシカの写真
H25年に世界遺産地域に設置しているカメラで撮影されました。顔の周りだけ茶色いという個性がある子です。
上で紹介した親子は顔の周りが白くて体毛もふわふわした感じですね。
カメラ調査の写真を見ている限りでは、白神山地周辺のカモシカだけでも毛が短めの個体もいれば、毛の色も白かったり濃い灰色だったりと個性があるようです。
↑今、白神山地周辺では分布が拡大していて話題のニホンジカ
カモシカは白神山地の山を歩いているとたまに出会うこともあり、私にとってはいるのが当たり前の動物です。
しかし、基本的に縄張りをもたず(繁殖期のオス以外は)、群れで生活するニホンジカの分布拡大により、今後は生息地が脅かされる可能性も考えられます。
これからも西目屋自然保護官事務所では、ニホンジカが白神山地周辺にはどれくらい侵入してきているのか監視しつつ、カモシカも含め他の動物も見守っていきたいと思います。