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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

野外実験

2008年01月31日
秋田
 今となっては小学校だったのか中学校だったのか・・何年生の時に習ったのか・・忘れてしまいましたが、確かに「水は摂氏0度で氷る」と習った記憶があります。ずっとそれが正しいと信じて過ごしてきましたが、実はそれは正しくないと言うことをご存じでしたでしょうか?先日そんな実験を見せてもらいました。

温度計は-8.5度付近を指していますからこの気温では水は氷るはずですよね?

ところが屋外に置いてあるペットボトルは氷っていません。0度を下回っても凝固せずに液体状態です。

屋外に置いてあった2Lサイズのペットボトルです。向こうの衣服が透き通って見えますからまだ水の状態であることが分かりますね?

そのペットボトルを軽く叩いて衝撃を加えます。すると・・・

みるみるうちに白く曇っていきます。水(液体)から氷(固体)に変わっていきます。

時間にして僅か十数秒で2L全体が氷になりました。触れてみるともう固くて体積も増えてペットボトルがパンパンです。

 これが何の実験なのかまだ言っていませんでした。実は『樹氷の出来かた』を見る実験です。以前の日記で樹氷の出来かたを解説した①『雪雲の中にある過冷却水滴が葉や枝に衝突し、その衝撃で凍結・付着して氷層が出来る(いわゆるエビの尻尾が出来る)。』の部分の実験です。
 実際の樹氷は空気中にある0度以下の水蒸気(気体)が衝突による衝撃で氷り(固体)になるのですが、実験では水(液体)に衝撃を加えて氷り(固体)に変わる様子を観ることが出来ます。因みに液体から固体に変わることを凝固と言いますが、気体から固体に変わることを昇華と言います。
 0度以下に冷やされた水蒸気(過冷却水滴)が針葉樹の葉にぶつかった衝撃でエビの尻尾になるというのが想像できますよね?最近テレビなどで水をこぼしていくと氷に変わっていくと言うシーンを見たことはありませんか?あれと同じ状態なんです。
 水蒸気や水は衝撃もなく冷やされていくと0度以下になっても直ぐに氷るということはないようです。このことは私が習った当時の教科書には書いてなかったような気がします。

 自然の中にはまだまだ教科書で習った通りではない事や科学の力では解明できていない現象がたくさんあるそうです。自然の中でそんな現象や事物を探してみるのも楽しいかも知れませんね!この日記でもそんな話題を取り上げていけたらと思っています。