東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

樹氷成長中

2008年01月07日
秋田
 年末年始に寒い日が続いたのでそろそろ樹氷が成長してきたんじゃないかな?と思ってラッセルトレーニングを兼ねて森吉山へ行ってきました。森吉山は稜線~山頂部に自生するオオシラビソ(別名アオモリトドマツと言い秋田ではモロビと呼びます)に毎年見事な樹氷が出来ます。今シーズンも12月下旬に一度、出来はじめたそうですがその後、暖かい日が続いたので無くなってしまっていたのですが・・

外輪山への稜線付近の樹氷・まだ樹の種類や形が分かります。ようやく出来始めた段階のようです。

外輪山の一つ石森山頂付近の樹氷・一際風の強い場所ですから成長も早いようです。

外輪山をつなぐ雲嶺峠の樹氷・この辺りは吹きだまりになるので小型のモンスターが生まれています。

徐々に樹氷が成長してしました。今月12日からは阿仁スキー場ゴンドラ頂上駅舎付近の樹氷まつりを開催するそうです。その頃には大きなモンスターになっているかも知れませんね!

ところで樹氷ってどうやって出来るのでしょうか? 私が初めて見た時に思ったのは『日本海を渡ってきた水分の多い雪が強風によって樹に激しくぶつかって出来ている』と思いました。それは正解ではないようです。

樹氷は⇒
①雪雲の中にある過冷却水滴が葉や枝に衝突し、その衝撃で凍結・付着して氷層が出来る(いわゆるエビの尻尾が出来る)。②その氷層の隙間に着雪する。③着雪した雪同士がくっついて(焼結)固くしまる。そしてそれにまた氷層が出来る・・・というようにして大きく成長していきます。
しかも樹氷が出来るには、①氷層と着雪の元になる過冷却水滴と雪が常に一定方向から運ばれること。②その時の気温が-5度以下であること。③常緑針葉樹が自生していること。④積雪が適度であること。など様々な条件が必要になります。その様なことから俗にモンスターと呼ばれる大きな樹氷が観察できるのは東北地方の奥羽山脈の一部の山域(八甲田・八幡平・蔵王・吾妻など)に限られるそうです。
また一見「樹氷」に見える物も正確にはそうでない場合もあるようです。冬の低気圧が去った後に見かける樹や建物などに付着した氷雪は霧氷(むひょう)と呼ばれます。霧氷には出来方や氷の状態などから「樹氷」「粗氷(そひょう)」「樹霜(じゅそう)」に分けられます。つまり樹氷とは上に書いたような条件・過程を経て出来上がった霧氷の一つだったのです。

こうして改めて樹氷を観察すると「奇跡の芸術」と言われるのも納得ですね。