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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

雪の日の楽しみ

2024年03月06日
アクティブ・レンジャー東北地区 戸澤 綾子
雪とは縁のない場所で生まれ育ちましたが、秋田で暮らすようになって20年以上が経ちました。
雪かきはツラく、終わりが見えず泣きたいこともありましたが、雪があるからこそ楽しめるのだ、とワクワクすることもあります。
雪
古木を観察
今回は、過日行われた「スノーシュー自然観察会」の報告を兼ね、ほんの少しですが冬の楽しいことをご紹介しましょう。
観察会が行われた3月3日は前日に大雪に見舞われ、集合場所に無事たどり着けるか心配でした。会場は乳頭温泉郷のブナ林です。着いてみると案の定、4日前に行った下見とは異なる世界。6,70cmは降ったでしょうか。すっかり膝まで埋まってしまう深さです。
雪
スノーシュー初めての方でも履き方をサポート
でもスノーシューがあれば大丈夫。これを履けば、ずぶずぶと雪に埋もれることもなく移動できます。
とはいえ先頭に立って、まだ誰も踏んでいないところに道をつけて歩く(ラッセルする)のは力仕事です。
今回の参加者もラッセルにチャレンジ。
雪
荒い息づかいが伝わりますか
3歩でギブアップでした。
ということで、ここは慣れた人が代わる代わる先頭に立って道を作っていきます。
雪
慣れてくると、このように、まるで走っているかのようなスムーズな動きに
雪の上を歩くのは人間だけではありません。
いろいろな生き物が移動した跡を探す、これこそ雪の季節の楽しみです。
この日は大雪が降った直後のためか足跡はほとんど見つけられず。下見の際に見つけたものをご紹介します。
それではこちら
雪
爪の様子が分からなかったのが残念。テンが通ったのでしょうか。
雪
続いてはこちら。2本の異なる足跡が平行についています。
左端に映り込んだストックとグローブからも大きさがお分かりでしょうか。かなり小さな跡が間隔を開けずにまっすぐ続いています。
左の線は写真の上方に向かって鳥が跳ねていったか。右の線は下方に向かってネズミが走ったか。
ここで妄想タイムの始まりはじまり。
木の根元に隠れているネズミに気づいた鳥がそっと近づいていく、それに気づいたネズミが慌てて駆け出す、なんて映像が私の頭の中でできあがりました。

他にも冒頭の写真、木の周りをみんなで囲んで何やら観察。
雪
みづらくてごめんなさい
そうです、クマの爪痕が残されていました。それも複数、ズリズリと下りてきたような爪痕も付いています。この古木にはキツツキの仲間がつけたと思われる小さな穴もたくさん開いており、観察しがいがありました。
このように雪が積もってくれたおかげで、ふだん首を伸ばしても見られない高い位置も観察できます。

ブナの実がたくさん付いた年は、樹上にできたクマ棚を観察できるという楽しみもあります。
今年はブナの実が凶作で、クマもクマった、いや、こまったでしょうが、我々も残念でした。

他にも、葉を落とした樹林では見晴らしが良くなるので、鳥の観察もしやすくなります。空気が澄んで遠くの風景も神々しさを帯びて見えるかもしれません。
雪
頭だけ見せてくれた乳頭山
自然にはそこかしこに絵になる造形が潜んでおり目を奪われます。
雪
雪が作り出す造形に笑みがこぼれます
雪
雪の結晶アーチスト様の作品
雪の日の楽しみが少しは伝わったでしょうか。
暦の上では啓蟄を迎えました。寒さの合間から小さな生き物たちが出てきますよ。
ゆっくり観察してみてください。

今回の観察会は休暇村乳頭温泉郷と共催し、パークボランティアホシガラスの会のみなさんの協力を得て実施しました。