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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

渡り鳥マガンと鳥インフルエンザ研修会

2023年11月01日
仙台 鎌田 和子
こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。
9月21日に、今シーズン初のマガンの群れが伊豆沼で確認されました。その日から次々とマガンの群れが渡ってきています。最新情報(10月20日時点)で、伊豆沼周辺ではおよそ8万5千羽が確認され今も増え続けています。
初雁(はつかり)9月21日に60羽のマガン
今季マガンが初確認された夕方、内沼にねぐら入りをしたマガンです。
10月上旬、稲刈りと共に増えるマガン
10月上旬の伊豆沼周辺では、稲刈りが進み、その周りにマガンが沢山集まっていました。落穂を食べながら、大きな群れが田んぼを移動していました。
9月から鳥インフルエンザの警戒のため、渡り鳥飛来状況調査が開始され、月の上旬、中旬、下旬で野鳥をカウントし、その中で異常が無いか確認をしています。
また、東北地方環境事務所野生生物課では、職員にむけて、死亡野鳥の回収や鳥インフルエンザウイルス簡易検査について、感染を防ぎながら安全に実施できるよう、研修会を実施しています。
鳥インフルエンザ研修会in伊豆沼
10月中旬の伊豆沼鳥獣保護区管理センターで研修会がはじまりました。座学の様子です。
伊豆沼鳥獣保護区管理センターでの研修会の様子
伊豆沼での研修では、死亡野鳥の簡易検査の研修も行われました。
鳥海猛禽類保護センターでの研修の様子
沼から死亡野鳥を回収する手順を確認しているところです。鳥海猛禽類保護センターでの研修の様子です。
盛岡管理官事務所での研修の様子
鳥のぬいぐるみを使用して、簡易検査の手順を確認しているところです。盛岡管理官事務所での研修の様子です。
冬の渡り鳥のシーズンの楽しみは、マガンの群れがねぐらにしている伊豆沼からの飛び立ち(出勤)とねぐら入り(帰宅)です。一斉に飛び立ち、一斉に帰ってくる様子は、何度見ても飽きることのない風景です。力強い翼の羽ばたく音や、群れで鳴き交わしながら、鉤になり竿になり飛んでいる姿は、美しいと思います。
伊豆沼でのねぐら入りの様子
伊豆沼での研修会が終了して間もなく、伊豆沼へ帰ってくる群れを観察することができました。
伊豆沼の落雁(らくがん)の様子
沼直前まで美しく整列して飛んでいたマガンですが突然、乱れて沼に落ちる様子を落雁(らくがん)といいます。
毎年、冬の渡り鳥のシーズンは、鳥インフルエンザの発生しやすい季節でもあります。そのために、私たちは研修を受け、対応をしていますが、今シーズンもすでに日本国内での高病原性鳥インフルエンザが発生しており、最高警戒レベルの対応レベル3に引き上げられています。
 
感染を拡大させないために観察に訪れる皆さまには、野鳥を密集させてしまうような餌やりはひかえていただくほか、野鳥に近づいた際に靴やタイヤに付着する糞を他の場所へ移動させないように消毒等のご協力をお願いいたします。