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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

森吉 樹木医観察会の報告と次回観察会のお知らせ

2016年10月04日
秋田 足利 直哉

 10月になり朝晩は冷え込むようになってきましたが皆様いかがお過ごしですか?

   

 10月2日(日)、森吉山野生鳥獣センター運営協議会の自然観察会を実施しました。今回実施した観察会は秋田県内在住の樹木医2名を講師に迎えて、樹木をテーマとした『樹木医と歩く天然記念物桃洞杉』です。森吉山鳥獣保護区にある標高900mの高場森(たかばもり)一帯には天然杉が林立し、国指定天然記念物となっている区域があります。その天然杉を樹木医さんと観察したくて企画した観察会です。

   

 高場森へのアクセスは、かつては林道が奥地まで延びていて、その終点を起点に気軽に周回可能なコースとして人気もありましたが、今は林道が崩落してしまったため高場森へ行くには、片道約8㎞以上登山道を歩く一日がかりのコースとなってしまいましたが、そうまでして行く価値は十分にある場所だと思っています。

   

 樹木医さんに講師をお願いする観察会は今年で4回目で、毎回講師を務めてくれる吉田さんと今年で3回目の講師となる地元在住の田中さんは、単に樹木の名前や特徴を解説するなんて事はせず、森の成り立ちや樹木がとっている戦略、大きな視点での森、マクロな樹や葉の話など(私では詳しくお伝えできませんが)・・・今回も大変勉強になる観察会でした(実はこの観察会は私自身がとても楽しみにしている観察会なんです。)。

    

  

 私も久々に会う高場森の桃洞杉(とうどうすぎ)は相変わらずの迫力で、参加者のみなさんも講師の先生も大きな杉に圧倒され、その静かな森に引き込まれるように上を見上げていました。

 桃洞杉がなぜ天然記念物に指定されているのか、もっと単純に言うと桃洞杉の何処がすごいのか?というと・・①標高900m前後にまとまった天然杉の大木がみられること。(普通秋田杉の生息適地は標高700m程度まで) ②自然下で更新がなされ天然杉の群落に様々な世代の杉があること。(一般的な杉造林地では稚幼樹が育つことはあまり無い)等が上げられるそうです。ここでの解説は講師の先生も一層力が入っていました。

 参加された皆さんは長いコースを歩いてかなりお疲れだったようですが、怪我も無く無事に森吉山野生鳥獣センターに到着し、「この長いコースを歩けて自信にもなったし、観察会も勉強になった」と秋の心地よい森で楽しく充実した時間を過ごして頂けたようです。

 観察会の後は『森吉山荘』さんのご厚意で、日帰り温泉入浴の時間外(通常は午後4時30分まで)であっても入浴出来る上、料金の割引もしていただける参加者特典があって、毎回好評を得ております。今回もほとんどの方が温泉に立ち寄られたみたいでしたので、きっと翌日からも元気に過ごされたことでしょう。

  

  

  

 さて、次回の森吉山野生鳥獣センター運営協議会の観察会は地元在住で最近活躍の場を広げているプロカメラマンを講師に迎えて、森吉山鳥獣保護区の良さをカメラのファインダーを通して再発見してもらおうという企画です。開催日は10月23日(日)で、まだまだ参加者募集中です。

お申し込みはこちらまで。http://www.ku-n.jp/mwlc.html

   

 参考までに昨年の観察会の模様を載せておきます。紅葉の見頃を迎えた森をカメラを抱えて散歩してみませんか。お待ちしております。