2016年10月
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2016年10月12日紅葉の秋田駒ヶ岳観察会
十和田八幡平国立公園 鹿角 髙橋麻記子
こんにちは!鹿角自然保護官事務所の髙橋です。「山澄む」という季語がぴったりの季節となりましたね。
南八幡平の秋田駒ヶ岳で絶好の秋日和だった10月3日に今年5回目となる観察会が催されましたので、
その様子をご紹介します。ちなみに秋田駒ヶ岳という山はなく総称です。
【駒ヶ岳八合目小屋前でのストレッチ】
【案内板でコースの説明】
首都圏やリピーターのご参加者やパークボランティアさんは赤やオレンジの紅葉色を衣類やリュックに身につけている方が多く、真っ赤なナンゴクミネカデととても馴染んでいました。
片倉岳展望台からは日本一深い田沢湖が一望!鳥海山や森吉山も見えます。
鳥海山がよく見える翌日は雨になるのだとか。月山や岩木山まで見える日もあります。
うずまき状の小岳やムーミン谷(馬場の小路)を見下ろし、標高1,000mを超えるところの天然秋田杉も見えます。横岳に進むと早池峰山と岩手山、乳頭山もばっちり見え、秋晴れの中全員で見とれます。
「この中に古文の得意な人いる~?」とツツジ科の落葉低木「ハナヒリノキ」について解説。
「ハナヒリ」は古語でくしゃみのことで、この葉の粉が鼻に入ると,激しいくしゃみがでるところから名付けられたそう。見ているだけで何だかムズムズしてきたような・・
八合目休憩所にある「シラタマノキ」の白い実が終盤のため、ピンク色かつハートに見えるものもあって、とっても可愛い!花びら状の白いガク片が本当の実を包んでいます。
チングルマの紅葉は終盤でしたが、秋田駒ヶ岳はいつの時期に来ても多くの方々を魅了しています。
主催である休暇村乳頭温泉郷の竹内支配人、南八幡平パークボランティア「ホシガラスの会」10名のみなさん、ありがとうございました。
解説とは別班にて男女岳登り口で旧道のロープと柵の片付け作業も行っていただきました。
10月10日には霧氷が見られたため、近いうちに初冠雪となりそうです。
さて、10月16日(日)に環境省と休暇村乳頭温泉郷の共催で紅葉のブナ森ハイキングを開催します。
キノコがいっぱいのブナ森をの~んびりお散歩しませんか?
お申し込み・お問い合わせは下記までお願いします。
TEL 0187-46-2244(休暇村乳頭温泉郷)
http://www.qkamura.or.jp/nyuto/activity/
2016年10月05日宮城県石巻市の離島調査
三陸復興国立公園 石巻 黒田和真
石巻自然保護官事務所の黒田です。
宮城県石巻市の南方に浮かぶ田代島、網地島、金華山の離島3島の調査を行ってきました。
調査は船上から島の地形や植生、周辺の海鳥の生息状況について観察してきました。陸上からは見ることができない、普段と異なる視点で風景を眺めることができました。特にリアス海岸の切り立った地形を見上げるように眺めると、その雄大さがよく伝わってきました。
【網地島 南岸】
島の周辺には三陸地域でお馴染みのウミネコやウミウなどに加えて、ハヤブサやクロサギを確認することができました。クロサギはこちらの地域では珍しいのですが、警戒心が高くうまく撮影することができませんでした。残念...。
【ウミウ 岩礁の上にいることが多く、ウミネコに次いでよく見まれました】
【ハマギク どの島の岸壁でも群落を確認することができました】
調査の出入港として利用していた網地島の網地港では、多くの南方系の魚たちが来遊していました。三陸沿岸には秋頃になると温かい海流に乗った、これらの季節来遊魚(死滅回遊魚)と呼ばれている魚たちがやってきます。石巻市内でこれほど身近に見られる場所は、他になかなか無いように思います。
【チョウチョウウオなど南方系の魚たちが、カキや海藻の周りをウロウロしていました】
普段行えない船からの調査で、様々な自然環境を記録することができました。また植生や季節来遊魚の様子から、季節の変わり目を感じることができました。みなさんも山や海の様相の変化を感じて、秋の生き物を見つけてみてはいかがでしょうか。
2016年10月04日森吉 樹木医観察会の報告と次回観察会のお知らせ
秋田 足利 直哉
10月になり朝晩は冷え込むようになってきましたが皆様いかがお過ごしですか?
10月2日(日)、森吉山野生鳥獣センター運営協議会の自然観察会を実施しました。今回実施した観察会は秋田県内在住の樹木医2名を講師に迎えて、樹木をテーマとした『樹木医と歩く天然記念物桃洞杉』です。森吉山鳥獣保護区にある標高900mの高場森(たかばもり)一帯には天然杉が林立し、国指定天然記念物となっている区域があります。その天然杉を樹木医さんと観察したくて企画した観察会です。
高場森へのアクセスは、かつては林道が奥地まで延びていて、その終点を起点に気軽に周回可能なコースとして人気もありましたが、今は林道が崩落してしまったため高場森へ行くには、片道約8㎞以上登山道を歩く一日がかりのコースとなってしまいましたが、そうまでして行く価値は十分にある場所だと思っています。
樹木医さんに講師をお願いする観察会は今年で4回目で、毎回講師を務めてくれる吉田さんと今年で3回目の講師となる地元在住の田中さんは、単に樹木の名前や特徴を解説するなんて事はせず、森の成り立ちや樹木がとっている戦略、大きな視点での森、マクロな樹や葉の話など(私では詳しくお伝えできませんが)・・・今回も大変勉強になる観察会でした(実はこの観察会は私自身がとても楽しみにしている観察会なんです。)。
私も久々に会う高場森の桃洞杉(とうどうすぎ)は相変わらずの迫力で、参加者のみなさんも講師の先生も大きな杉に圧倒され、その静かな森に引き込まれるように上を見上げていました。
桃洞杉がなぜ天然記念物に指定されているのか、もっと単純に言うと桃洞杉の何処がすごいのか?というと・・①標高900m前後にまとまった天然杉の大木がみられること。(普通秋田杉の生息適地は標高700m程度まで) ②自然下で更新がなされ天然杉の群落に様々な世代の杉があること。(一般的な杉造林地では稚幼樹が育つことはあまり無い)等が上げられるそうです。ここでの解説は講師の先生も一層力が入っていました。
参加された皆さんは長いコースを歩いてかなりお疲れだったようですが、怪我も無く無事に森吉山野生鳥獣センターに到着し、「この長いコースを歩けて自信にもなったし、観察会も勉強になった」と秋の心地よい森で楽しく充実した時間を過ごして頂けたようです。
観察会の後は『森吉山荘』さんのご厚意で、日帰り温泉入浴の時間外(通常は午後4時30分まで)であっても入浴出来る上、料金の割引もしていただける参加者特典があって、毎回好評を得ております。今回もほとんどの方が温泉に立ち寄られたみたいでしたので、きっと翌日からも元気に過ごされたことでしょう。
さて、次回の森吉山野生鳥獣センター運営協議会の観察会は地元在住で最近活躍の場を広げているプロカメラマンを講師に迎えて、森吉山鳥獣保護区の良さをカメラのファインダーを通して再発見してもらおうという企画です。開催日は10月23日(日)で、まだまだ参加者募集中です。
お申し込みはこちらまで。http://www.ku-n.jp/mwlc.html
参考までに昨年の観察会の模様を載せておきます。紅葉の見頃を迎えた森をカメラを抱えて散歩してみませんか。お待ちしております。
こんにちは。盛岡自然保護官事務所の工藤です。
残暑を楽しんでいたつもりがあっという間に秋が深まってしまいました。
盛岡自然保護官事務所のある盛岡市内もすっかり冷え込み日没後はかなり寒いです。季節の変わり目は体調を崩しやすいので、皆様もお気を付け下さいね。
本日は巡視の際に見つけたキノコをご紹介します。
キノコは私たちにとって身近な食材ですが、食用のキノコは極々一部で、可食かどうか不明なキノコもまだまだ沢山あります。うかつに口にしてはいけませんね。分類についても「○○」の仲間などと名前すらついていないキノコが多く、年間1000種も新種が発表されているそうです。謎多きキノコにこれからも注目していきたいです。
国立公園の雄大な景色はいつ見ても本当に素晴らしいですが、視界の悪い日などは是非足下にも目を向けてみてください。そこにも大自然が広がっています。