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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

大潟草原の夏鳥と水辺の生きもの観察会

2013年05月20日
秋田
 19日(日)は各地で観察会が目白押しだったようですが、大潟草原鳥獣保護区でも観察会を実施しましたのでご報告します。


 大潟草原鳥獣保護区にはこの時期、繁殖のために多くの夏鳥達がやってきているのですが、管理棟から見えるサギのコロニーではアオサギ、ダイサギ、ゴイサギの3種のサギの繁殖の様子が観察できます。この時期は雛が続々と孵っていて、親鳥たちは餌を求めて水辺にやってきます。また管理棟横の菱沼には人気者のカワセミが魚を求めてやってきます。
 彼らはどうやら様々な獲物を捕らえて食べたり、雛たちに与えているようですが、特別保護地区の中の水辺にはどのような生きものが生息しているのだろうか?こんな疑問から『野鳥観察』と『水辺の生きもの観察』の2本立ての観察会を企画し、実施しました。
 今回の観察会を一番楽しみにしていたのは私だと思います。野鳥観察に続いて彼らが生きていくために重要な水辺の生きものを観察する。生きもの同士の繋がりを感じられる観察会ってワクワクします^^



 先ずは午前の部。『大潟草原の夏鳥観察』から・・
 5月の中旬~下旬、サギのコロニーで雛が孵る時期と草原性の鳥類たちが続々と到着する時期に合わせて行う、恒例の野鳥観察会です。
 講師はいつもお世話になっている日本野鳥の会秋田県支部の方々。鋭い観察眼と丁寧な解説が好評です。 



 写真左上から時計回りで・・①管理棟の2階からスコープでサギのコロニーで子育ての様子を観察。②管理棟の2階から双眼鏡で飛翔するチュウヒの観察。③ヨシ原に出て草原性の小鳥を探し、観察する。④見つけた鳥は講師陣の解説付きで図鑑と照らし合わせてみる。

 この日、観察できた野鳥は全部で32種類。過去3年間を見ると2010年が23種類、2011年が34種類、2012年が26種類でしたから今回は上々の成果と言えそうですが、種数に比して個体数は少なめ・・・。草原性の小鳥はなかなか見つけられずに探し求めるまさに”探鳥”状態でした。
 


 続いて、午後の部。『水辺の生きもの観察会』から・・
 大潟草原鳥獣保護区の特別保護地区内の水辺は閉鎖性水域でここへ流れ込む水路も流れ出す水路もありません。この池に住む魚たちは何代にもわたって世代交代を繰り返し、脈々と命をつないできた事になります。大潟草原鳥獣保護区で野鳥以外の観察会を行うのは初めてのこと。
 講師は県内各地で実際に淡水魚の調査に携わっているNPO法人秋田水生生物保全協会の方々。実際に調査されている現場を見たことがありましたが確かな識別眼と手際の良さが光ります。 



 写真左上から時計回りで・・①今回水辺の生きものを採捕するために使った漁具はセル瓶とタモ網、サデ網②そして投網。流石に使い慣れているようでキレイな円を描いて水中へと落ちていきます。③捕らえた魚は観察しやすい水槽に入れて観察します。④網から魚を取り出すこの瞬間が一番の楽しみなんです。

 この日、採捕できた魚は3種類。この日はやや水温が低くて魚の活性が低かったようです。それでも普段は覗くことが出来ない水中世界の一端を見ることが出来、楽しい時間を過ごせました。何よりも手に持って、目の前で観察できるというのが良かったようです^^

 
 観察会の最中、ある参加者から『午前の野鳥観察と午後の魚観察は繋がってるね!』と声をかけていただき『生きものの繋がりも感じられるし、その生息環境についても視点を変えてみることが出来て良いね。』と言っていただきました。
 当事務所保護官も私も観察会そのものを楽しんで満足していましたが、こうした感想をいただいて満足度は跳ね上がりました。

 最後になりましたがご参加いただいた皆様、講師の皆様、本当にありがとうございました。
 
 

<追記>
 今回、水辺の生きものを採捕して観察会をするために、秋田県内水面漁業規則に従って秋田県知事より『特別採捕許可証』を受けた上で、その許可証を掲示して実施しました。この許可無く実施する事は規則違反になりますのでご注意ください。
 特別採捕許可について、詳しくは秋田県のホームページで『内水面漁業規則』で検索してください。