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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

カンムリカイツブリ 非繁殖羽で求愛

2011年03月09日
秋田
 今日昼前、事務所の入っているビルが激しく揺れました。こういう時の時間って長く感じられるものですが地震の揺れも随分と長く続いた気がします。その後の余震も続いて・・・ずっと体が揺れてる感覚。なんだか気分が悪いくらいです。




 はい。
 ちょっとやりにくいですが・・・昨日の日記で【カンムリカイツブリ】を取り上げて、既に繁殖羽に換羽していてペアで過ごしているものもいることを報告して繁殖に向けた観察を積み重ねていきたいと言いましたが、早速今日その「・・・」を埋めるかも知れない観察からお伝えしようかと思います。


 おおよそ、野鳥達の羽衣が非繁殖羽から鮮やかな繁殖羽に換羽して準備が整い、オス♂がその鮮やかな外見と鳴き声やダンスなど様々な方法でアピールして、メス♀がそれを受け入れるとペアが成立して・・・といった流れで繁殖が行われていくのだと思いますが、先日観察した【カンムリカイツブリ】はその流れを無視(??)していました。引き続きご覧下さい。



 



 この前に色々と見応えのあるシーンがあったのですが・・・2羽の【カンムリカイツブリ】がいつもの体勢とは明らかに異なる体勢で接近していきました。
 昨年もこの様な場面を観察できていたので直ぐにピンと来ました!!これは【カンムリカイツブリ】の求愛ダンスです。


 2羽の【カンムリカイツブリ】が至近距離で、向かい合って、顔の廻りにある装飾羽を目一杯に広げて、首を振り、嘴を空高く掲げ熱烈な求愛ダンスを繰り広げます。私が見ていても、廻りに他の野鳥がいても、他の【カンムリカイツブリ】がいても彼らにはお互い以外は目に入っていないかのようです。


 ちょっと時期が早いような気もしますが・・・此処まで書いた感じでは今年も此処で【カンムリカイツブリ】達が繁殖をするという喜びもありほんわかした気持ちになる観察なんですが・・・・タイトルにもあるように向かって右の個体の羽衣がいわゆる冬羽と言われる「非繁殖羽」のままなんです。


 ここでいくつかの疑問が生まれます。
①非繁殖羽の個体はオス♂なのか?メス♀なのか?
>一般的な見地から、より体の大きな個体がオス♂だとすると非繁殖羽の個体の方がやや大きいように見えます。でも小柄なオス♂と大柄なメス♀のペアであればサイズが逆転している可能性もあります。
②【カンムリカイツブリ】は繁殖羽への換羽をもって繁殖行動が引き起こされるのではないのか?
>非繁殖羽個体がオス♂かメス♀かで少々答えが変わってきそうですが。オス♂であるならば、求愛するには必ずしも繁殖羽でのアピールを必要としない事になりますし、メス♀であるならば求愛される側は羽衣がどうであれ対象となりうる事になります。
③【カンムリカイツブリ】がパートナーを選ぶ条件に羽衣の鮮やかさは含まれないのか?
>この観察を見る限り、少なくとも必須条件ではなさそうです。

 この他にも不思議に思えることがありますが、目の前で繰り広げられている光景こそが真実です。


 ちなみに、非繁殖羽の個体も求愛アピールはしています。


 その証拠に・・・顔の周囲の羽を目一杯に広げてアピールしています。私的には、繁殖羽に比べて見劣りすると思いますがこのペアにとってはそんな見た目はどうでも良いことなのかもしれません。



 出来ることなら、この【カンムリカイツブリ】のペアに『お互いの何処に惹かれましたか?』という質問をしてみたい^^。果たしてどんな答えが返ってくるのでしょうか??