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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

カイツブリ第1回冬羽

2010年11月09日
秋田
 東北から北陸にかけての日本海側に強風が吹き荒れている今日。通勤時には傘がイマイチ役に立たなくてズボンが濡れてしまいました。
 これが雨ではなく雪に変わるにはもう暫く日にちを要しそうですが、この時期は平野部で雪でも山では雪ということがよくあります。今日も山間部では白っぽい雨が降っているんじゃないかな・・・。



 こんな天気の日には不謹慎にも何かいつもと違った・・・変わった鳥が入って居るんじゃないか?なんて思うようになった今日この頃、大潟村やその途中の探鳥地が気になるところです。

 さて、そんな思いを馳せながら西部承水路で観察した【カイツブリ】を取り上げてみました。


 顔の周辺に幼羽時の縞模様がくっきりと残っている【カイツブリ】です。この様な時点の野鳥をどうやって呼んだらいいのか?戸惑うところですが、つい先日第1回冬羽という表現が一番ぴったり来るとの思いに至り、それ以来今年生まれて、冬に向けて初めて換羽した野鳥をそう呼んでみる事にしました。
 もう流石に「巣立ち雛」ではないですし、「幼鳥」というのも場合によっては示す範囲が広くなってしまいますからね・・・。


 一緒にいた親鳥と思われる成鳥と比較してみましょう。ピントを第1回冬羽の個体に合わせているので解りにくいですが、顔以外の全体の印象は既に親鳥と同じです。次の換羽時にはもうすっかり大人と同じ外見になって区別が付かなくなってしまうことでしょう。



 この時、この【カイツブリ】達が直ぐ近くまで寄ってきてくれたのでじっくり観察できたのですが、私が体勢を入れ替えた時、彼らにハッと気付かれてしまい(恐らくそれまでも気付いてはいたと思うのですが・・・)、急に警戒モードになってしまいました。
 大抵の野鳥は警戒する相手がいると飛び去って遠くへ逃げていきますが【カイツブリ】達は潜水をして逃げていきます。そしてある程度彼らが許容できる距離まで離れたところで様子見をするようです。


 その様子見をしているときの写真がこちら↑。潜水直後なので全身に水がついていて随分とほっそりとした印象になってます。念のため言っておきますがこれは全て同じ個体を撮影したものです。


 【カイツブリ】はカモの群れが過ごしている水辺や承水路に注ぐ小さな水路周辺で観察することが出来ます。カモたちがどんどん鮮やかな繁殖羽に換羽している中、色合いが地味になった【カイツブリ】はあまり注目される存在ではないかもしれませんが、私たち観察者には付き合い(?)も良く見ていて楽しい野鳥です。特にこの第1回冬羽は彼らの一生の内一度きりの貴重な姿です。是非直接ご覧になって下さい。