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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

”チュウヒありき”のお馴染みの光景

2010年10月29日
秋田
 いよいよ10月も残り僅か・・・来週の月曜日はもう11月です。なんやかんやと忙しない毎日を過ごしているうちに・・・光陰矢のごとし。



 昨日の日記でこの時期は猛禽の観察が楽しい^^という話をしたのは完全なる前フリで・・・今日はそれを受けて【チュウヒ】を取り上げます。
 これまで何度か取り上げてきたカモが沢山飛来している時期の【チュウヒ】ですから、既にどんな内容になるのか想像が付いている方もいるかも知れません。お馴染みの光景といえば・・・
 そう!!【チュウヒ】が水辺のカモたちを追い回すあの光景です!!しかし、実際に生で見る時の迫力が私の腕ではお伝えすることが出来ませんので今回は断念しました・・・。この光景は一見の価値有りですから是非とも実際にご自身の目でご覧頂きたい。

 今日の日記は雰囲気だけをお伝えしようかと思います。


 承水路の上空を獲物を探しながら飛行する【チュウヒ】です。
 よく見ると顔の向きを忙しなく変えて獲物を探しながら飛んでいるのが解ります。この状態の時はそれほどスピードもなく、ある程度の高さを保って飛んでいますから私でも何とかフレームに納めることが出来ます・・・。

 が!!獲物を見つけたときなんでしょうけど・・・スピードも上がりますし、かなりの低空飛行になるので背景に紛れて見失うこともしばしば。
 そんな時は水辺にいるカモの群れが【チュウヒ】から逃げて右往左往する様子が観察できます。

 こういった時はコガモが特に敏感に反応します。より身体が小さいから【チュウヒ】の狩りの対象になりやすいのかも知れません。それより大きなカルガモやマガモたちは【チュウヒ】が頭の上を飛んでも反応しない事もあります。でも以前、【チュウヒ】がマガモのオス♂を捕食しているのを見ましたけど。その模様はこちら


 話はコガモの動きに戻りますが・・・既に数千羽規模に飛来が確認できるコガモ達ですが、実際には数羽~数十羽くらいの群れが各所に観られるので全部が一斉に飛ぶということにはなりません。いずれ水面が凍結したときには大きな群れが移動する場面が見られると思いますけど・・・。しかし、カモの群れの上空を【チュウヒ】が飛ぶとコガモだけがぶわっと飛び上がって逃げ回る様子は天敵の多い種の宿命のようなものが見えるような感じがします。

 とは言ってもなんとなくですが・・・コガモ達も【チュウヒ】が恐ろしいから必死で逃げているか?と言えばそうでもないようにも見えます。どちらかというと「恐ろしいから」というよりは「鬱陶しいから」逃げるみたいな感じです。

 同じ猛禽類でもオオタカが襲ってきた時は緊迫感が違います。ある場所から入念に獲物を探し、”これ”と決めた獲物目がけて一直線に猛スピードで飛んでくるオオタカが襲ってきた時には、全ての種のカモが逃げますし、一糸乱れぬ連帯感で大きな群れが激しく移動しますし、そのスピードも段違いです。オオタカから逃れるために水面に逃げ込む時も決してスピードを緩めず、水中目がけて飛び込みます。その光景はあまりに早く、一瞬の出来事なのでとても私ごときがカメラで追えるものではありません。


 では【チュウヒ】に追われたコガモがどんな感じで水面に逃れてくるかというと・・・・


 こんな感じです。スピードも控えめで、こうして滑り込むようにして着水します。これは実際に【チュウヒ】が追い回したコガモが着水する場面です。どうですか?緊迫感は感じられますか??