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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

巣立ち雛のおねだり

2010年08月10日
秋田
 連日暑い日が続いている秋田です。暑気払いにと渓谷に出かけてみたものの思ったよりも水量が多かったことに驚いてしまいます。各地に短い時間にドッと降る局地的な雨の量が思いの外、多いようです。沢歩きなどをする前に事前にしっかり情報を収集して行動しましょう。




 さて、今日取り上げるのは大潟で巡視していて一際大きな鳴き声を発している巣立ち雛です。林と水辺からそれぞれ1種取り上げてみました。


 先ずは保護区内の防風林や公園などで大きな鳴き声を絶え間なく出し続けている【ヒヨドリ】の巣立ち雛です。
 ただでさえ、鳴き声の大きな【ヒヨドリ】ですがこの時期、巣立ちを終えたものの未だ自分で餌を採るのが難しいらしい巣立ち雛が盛んに餌をおねだりするために一際大きな鳴き声をあげています。
 近くに親鳥の姿があるなしに関わらず鳴き声をあげていますが、近くに姿を確認したときには一段ボリュームが上げて鳴きますからそれはもう・・・^^


 【ヒヨドリ】の巣立ち雛達も必死なのでしょう。大きく大きく口を開いて餌をおねだりしています。
 こうして口を開けて待っていてもなかなか親鳥は餌を持ってきてはくれないので自分から親鳥に向かって更に強烈におねだりしていました。もう身体は立派に親鳥並なのにこうした行動を見るとやはり幼さを感じますね。



 次に水辺でのおねだりの光景です。

 西部承水路を巡視していると【カンムリカイツブリ】の姿がよく目に付くのですが、この時期には鳴き声もよく耳にします。その声の主は決まって巣立ちを終えたばかりの雛達です。黒と白の縞模様をしていて一見して雛と解る彼らも最近は潜水を覚え、やや不器用ながらも一生懸命に潜水を繰り返します。しかしなかなか獲物を捕らえるのは難しいらしく・・・何度チャレンジしても餌が採れないと鳴き声をあげて親鳥におねだりします。


 私が観察した限りでは3回の潜水を試みましたがどうやら獲物は獲得できなかったらしく・・・鳴き声をあげて親鳥に向かって行きました。何だか”泣きべそ”をかいているように見えたのは気のせいでしょうか??


 潜水を試みて上手くいかなかった我が子に対して親鳥は寛容で、自分が捕らえた獲物のお裾分けをしていました。しかしこの後、身体が大きくなってきた雛にはまだまだ餌が足りないらしく間近でおねだりを始めました。
 すると先ほどは寛容だった親鳥が掌を返したように冷たく距離をとって自分で採餌を始めました。この雛も暫くは当方にくれているような感じに見えましたが気を取り直し再び潜水を始めたときには思わず拍手を送っていました。



 どちらの親鳥もまだまだ餌を捕らえるのが下手な我が子の面倒を見ながらもいつまでも甘えさせずに自立を促すような行動がみられました。親鳥達は自然界で生きて抜いてきた先輩として、生まれて間もない我が子に一日も早く成長し一人前になるようにアメとムチを使い分ける子育てをしているんですね。