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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

ホオジロ イロイロ

2010年06月28日
秋田
 森吉山や森吉山周辺を主なフィールドとして活動するガイドさん達と一緒になって野鳥の観察記録を積み重ねていく活動を昨年から初めて2年目に突入しています。まだまだ始まったばかりの活動ですが、参加してくれているガイドさん達も『普段から野鳥へ注意が向くようになり、自分でも野鳥を観察する機会が出来たりして、日頃の活動にも幅が出てきた。』と少しずつ成果が現れつつあるようです。

 そのガイドさん達が一番先に覚えたのが【ホオジロ】です。特に森吉山野生鳥獣センターのある森吉山麓高原ではかなりの羽数が生息していて、わりと近くで観察できるのと、よく鳴く小鳥なので鳴き声も耳に残るほど頻繁に聞くことが出来ているのが主因だと思います。
 今、森吉ではにわかに(?)野鳥に対する関心が高まりつつあります。




 さて、その【ホオジロ】ですが、現在森吉山麓高原で子育ての真っ最中のようです。つい先日まであちこちで巣材を運んでいたと思ったら、この頃は餌を運ぶ姿が多く見られるようになってきました。


 たくさんの餌を咥えている【ホオジロ】。咥えているのはミミズでしょうか?

 巣自体は藪の中にあって見つけるのは大変ですが、道路や旧牧草地などの開けた場所から数メートルという立地条件に巣を構えているようなので餌を運んで藪に潜る姿や、新たな餌を求めて飛び出す姿を頻繁に見かけます。


 その一方で、ソングポストで空に向かって綺麗な囀りを響かせている個体も見かけます。


 こうして、懸命に囀りを響かせていると言うことは・・・未だにパートナーを見つけられずにいるオス♂なのかな?




 と・・・これまでならば書いて「ペアとなって一生懸命に繁殖活動をする個体」と「未だにペアを見つけられない可哀想な個体」という対比でこの同じ日に撮影した別の行動をする【ホオジロ】を捉えていたでしょう。
 しかし、観察をしていくと「そうでもない」事が解ってきました。先日観察していた【ホオジロ】は懸命に餌を運んでいました。短い時間でドンドンと餌を運び込むやり手の【ホオジロ】だな~なんて感心しながら見ていたのですが、その個体が突然、餌を採りに行くのを中断してちょっと高めの枝の上に止まりました。これまで一生懸命に動いてきたから一休みかな?なんて思ってみていると・・・そこで囀りを始めました。それも結構時間続けていたので、そこだけ見るとこの時の個体も「未だペアが見つからない可哀想な個体」に写ったと思われます。でも実際にはそうではありません。


 この様な観察を踏まえて見ていくと・・・
「繁殖が行われている時期に囀りをしているからと行ってペアが見つかっていない訳ではない。」という事。
それと「囀りはペアを探すときのラブコール以外の意味もある。」という事。
もしくは「【ホオジロ】は一夫多妻での繁殖を行うものもある。」という事等が見えてきます。
 どれも確証を持って断言することは出来ませんが・・・【ホオジロ】のように身近で、観察機会の多い野鳥であってもじっくり観察してみるとイロイロと面白い行動が見えてきます。【ホオジロ】もイロイロです。