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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

肩羽

2010年01月27日
秋田
 秋田自然保護官事務所では2月21日(日)大潟草原鳥獣保護区とその周辺に於いて野鳥観察会を実施予定です。こちらに詳細が掲載されていますのでご覧頂き、是非ともご参加いただきますようお願いいたします。 



 先日、撮りたかった写真が撮れましたのでそれで日記を書こうと思います。

 大潟草原鳥獣保護区の管理棟には不幸にして死亡した野鳥の羽を一枚一枚キレイに並べて、額装して『羽標本』として展示している事はこの日記でも何度か取り上げたことがあります。その時に疑問に思っていたのが『肩羽』という羽のこと・・・。
 大きさは翼を構成する風切羽や大雨覆などの大きな物と同等で、幅も広い!!でも飛翔に役立つ羽ではなさそうだ・・。ではどんな感じで身体に付いていて、どんな役割をするのか?本などで読んで一応の予備知識は持っていましたが実際に見てみたい!!
 と思い、羽ばたきをするハクチョウを後ろから撮影できる機会を虎視眈々と狙って過ごしてきました(←ってそんなに大袈裟なものでもないんですけど・・)。

 出来れば図鑑などの「羽の解説・図解」をしているページをご覧になりながら読んでいただけると、よりよろしいかと思います。でもほとんどの図鑑には『肩羽』は記載されていないですね・・・。



 近くにいた一羽の【オオハクチョウ】幼鳥が羽ばたきを始めました。実は羽の真っ白な成鳥の撮影に一応成功していたのですが・・・色が均一すぎてイマイチ分かり辛かったんですよ・・・


 なので、今度は幼鳥で!!と思っていたので、シャッターを押しながら小さくガッツポーズでした!!しかも勢いよく羽ばたいてくれたので『肩羽』がふわっと浮き上がっています。


 アップにしてみました。ふわっとなってますでしょ??

 どうです?羽の大きさは翼のものと同等か、むしろより大きく見えますよね?でも生えてる場所(人間で言えば肩胛骨(けんこうこつ)の辺りでしょうか?)からして飛翔に役立つ羽ではなさそうですよね??



 では実際にはどんな役割を果たすのでしょうか??

 調べてみると・・・飛翔時には身体に張り付くようになっていると言われています。このことからも飛翔時に使うのではない事が推察できます。
 そして静止して翼を畳んでいる時には、ハッキリと見えています。飛翔に使う羽は『肩羽』の下にたたみ込まれ覆い隠されています。

 『肩羽』は年中屋外で過ごす鳥に特に発達した羽だそうです。ハクチョウは年中屋外にいますよね??巣穴なんて利用しませんもんね?屋根のある場所で過ごすハクチョウって言うのも想像できませんもんね??

 もうお分かりですね??『肩羽』は言わば傘の役割を担う羽なんだそうです。屋外でジッとしている時など翼が直接濡れないように、雨や雪を付着させないように、或いは暑い地域に暮らす鳥の場合は直射日光からの保護という役割もあるそうです。



 厳しい自然の中で年中日差しや風雨にさらされている彼らにとって『肩羽』はかなり重要な役割を持つ羽である事が解りました。サイズが大きな事にも納得です。
 毎度思うことですが・・・野鳥たちの羽って本当によく出来てますね!!



<追記>
 大潟草原鳥獣保護区の管理棟には【オオハクチョウ】成鳥の羽標本もあります。興味のある方は是非足を運んでみて下さい。