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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

ツルハシの現場検証

2009年12月16日
秋田
 朝も暗いうちから除雪車が出動!そうなると出勤前の雪かき!随分と久しぶりにやりましたが、この一仕事がなかなか大変なんですよね!!秋田市内は今もずっと雪が降り続いています。というか吹雪いてます。この分では帰宅前にも一仕事しなければならないかも知れません・・・。



 昨日の日記の続編になります。昨日は【タンチョウ】がその長い嘴を使って土を掘り起こし、冬眠しているカエルを捕らえる様子をお伝えしましたが、今日はその掘り起こした『穴』に注目してみました。


 土の中から掘り出したカエルを摘む【タンチョウ】です。流石に大きかったようで、このままは食べず解体して食べていましたが、その様子なかなかグロテスクでした。昔、授業でカエルの解剖をした経験のある方。大体あのイメージです・・・。

 そんなサイズのカエルが冬眠しているのですから、さぞかし大きな『穴』なんだろうと思って、【タンチョウ】が移動した後にこの現場に行ってみると・・・
 

 直ぐに見つかりましたが、思っていたよりも小さくて拍子抜けしちゃいました。スケール代わりにボールペンを置いてみました。およその大きさがお分かりになりますかね?


 ついでに縦方向にも差し込んでみました。他の穴も見てみましたが、『穴』の方向としては垂直方向と言う感じではなく、斜めに開けられていました。実際に嘴で穴を掘っているときの【タンチョウ】の体勢を見るとそれも納得ですね!


 ところで・・・この穴を見て思ったのですが、『元祖ツルハシ』(タンチョウの嘴のことです。念のため・・・)は、工事現場にある『ツルハシ』よりも優れた性能を持っていることが解ります。
 もし、私たちが同じように冬眠しているカエルを掘り出そうとする場合。そこに眠っているカエルと同じかそれ以上に大きな穴を掘る事になりますよね?そうしないとカエルを引き上げることが出来ませんからね?
 でも【タンチョウ】の場合は穴を掘った『元祖ツルハシ』で、同時に挟み挙げる、あるいは摘み上げる事が出来るので、大きな穴を掘る必要がないようです。なので私が想像したよりも小さな穴で、カエルを捕らえることが出来ていたんですね!!


 これまで、【タンチョウ】が水路でタニシやドジョウを捕らえる場面や、落ち穂を食べる場面、飛んでるトンボを捕まえる場面など様々な採餌のシーンを観察してきましたが、これほどに【タンチョウ】の嘴の形態が活かされた採餌場面は無かったかも知れません。
 もしかしてこの採餌手段を獲得するために長くて直線的な嘴になったのでは?こんな想像もあながち間違っていないんじゃないか?と思えた観察でした。


 余談ですが・・・工事現場の『ツルハシ』の漢字表記は『鶴嘴』。語源は勿論!!その形状が「鶴の嘴に似ていること」から付けられた名前だそうです。