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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

ヒシクイ、あきたこまちを食べる

2007年12月14日
秋田
 秋田県内でガン・カモの飛来地として知られているのが県北部の能代市にある小友沼(おともぬま)です。そこでガン・カモの飛来数調査などの活動をしている方の情報では「小友沼をねぐらにしているヒシクイは3000羽を越えた。」と言うことでした。
 これまではマガンに混じって観察されることの多かったヒシクイでしたが、最近はヒシクイを主体とする大きな群れが大潟村の水田で盛んに落ち穂をついばんでいる姿が観察されるようになってきました。数が増えてきていることが実感されます。

落ち穂をついばむヒシクイの群れ。

 大潟村の水田は稲作が盛んな秋田県内にあってもその広さは群を抜いていますが、その広い水田がヒシクイで埋め尽くされるようになってきました。それほどの数のヒシクイの腹を満たす食料があると言うことなのでしょう。気になったので彼らが去った後の水田を見てみました。するとあるはあるは・・稻藁の中に実の詰まった穂が大量に落ちています。収穫の際にこぼれたのでしょうが私の予想を超えた量の穂が落ちていました。触ってみても実が詰まっているのが分かります。

水田に落ちている穂。美味しい「あきたこまち」ですよ!

 ここに来ているヒシクイは殆どが小友沼をねぐらにしていて、毎朝7時前後にねぐらを出発して大潟村にやってきます。大潟草原鳥獣保護区内をねぐらにしているヒシクイもいますから、毎日相当な量の「あきたこまち」の落ち穂が消費されています。それでも大潟村に来ている限りは食糧難に苦しまずにすみそうな感じがします・・。

おなかいっぱい食べたのでしょうね?ヒシクイの糞もあちらこちらに落ちています。

 これほど充実した食料がありますからヒシクイ・マガンだけでなくちょっと珍しい鳥の姿も見られます。先日は日本野鳥の会秋田県支部の方から「サカツラガンいるよ」と教えてもらって会いに行ってきました。小友沼にはシジュウカラガンも居るそうです。更に一時新潟県の大鳥池に行っていたあのハクガンも戻ってきています。

ヒシクイの群れの中にいるサカツラガンに会うことが出来ました。居るという情報を聞いていましたが、探して探してようやく見つけられました。