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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

マイナス2mからの眺望

2007年12月11日
秋田
 大潟草原鳥獣保護区のある大潟村は八郎潟(かつては琵琶湖に次いで日本で2番目に大きかった湖)を干拓して生まれた村で、その殆どが標高マイナス1~2mと海水面よりも低い陸地です。(海抜0mよりも低いという意味で!)大潟草原鳥獣保護区も同様にマイナス1~2mの標高です。
 一般的には標高の高い山などが眺望の利く展望地となりますが、海よりも低い干拓地も眺望はなかなかのものです。村には高い建物もなく(最も高いホテルで8階建です)、山なんて当然ありませんから障害になる物が少ないのです。
 
大潟草原から見える代表的な山に絞って挙げてみますと・・
 男鹿三山(最高峰本山715.2m)→地図上の距離(以下は省略)19.9km
 太平山(最高峰奥岳1170.4m)→38.9km
 森吉山(最高峰向岳1454.2m)→51.2km
 藤里駒ヶ岳(1157.9m白神山地の東部にある)→51km
 鳥海山(最高峰新山2236m)→100.8km

明確な基準があるわけではないようですが、「眺望」を追い求める方々の間では視程距離100kmを越えると『遠望』150kmを越えると『超遠望』として捉えるそうです。上の例はあくまでも地図上の距離ですから大潟草原のマイナス2mから標高2236mの鳥海山の山頂が見えれば視程距離は三平方の定理を使って距離100.8kmの2乗+標高差2238mの2乗の和が視程距離の(直線での距離)の2乗に等しいことになりますよね?

大潟草原から見た森吉山

鳥獣保護区管理棟から見た白神山地東部

上高地に肖像レリーフがあることでも知られる木暮理太郎氏は山岳展望の先駆者としての顔も持っていて、木暮氏は「東京から苗場山を見た」と言う記録も残っています。それは完全に超遠望と言える距離です。
 これからの季節は気象条件としての視程障害も少なく、遠望のきく日も多くあるかもしれません。海より低い陸地の大潟村からでも遠望の世界を楽しむことが出来るんですから!!
 何気なく眺めている窓からの景色の中にも『遠望』『超遠望』の世界があるかもしれませんよ?