東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

【実施報告】野鳥観察会「大潟草原の渡り鳥」

2007年11月19日
秋田
 18日(日)に大潟草原鳥獣保護区とその周辺において野鳥観察会を実施しました。前日まで晴天が続きましたがこの日の予報は荒れ模様だとか・・・前の晩には雷を伴って激しく雨が降り、「こんな天気で大丈夫か?」と心配になりました。
 しかし24名の参加者はじめ、スタッフ6名も普段から鳥たちに特段の愛情を注いできた成果で(?)観察会中若干の小雨には当たったものの、スコープを使った観察にも支障がなく予定通り観察会を実施しました。

開会式後、航空写真でこの日の観察場所を伝えます。テレビカメラもありやや緊張していたようでもあります。

 この日の観察は車に分乗して4カ所の観察スポットを移動しながら行いました。広い干拓地ではたくさんの野鳥が見られますが、この時期はガン・カモ類が飛来しとっても賑やかです。

図鑑片手に熱心に観察してる横にテレビカメラも・・

 まずは大潟村の干拓地内A-39地区にてヒシクイ・マガンの観察をしました。ここには木曜日辺りからヒシクイが入り「観察会に間に合った」と胸をなで下ろしていました。しかしそれを上回るサプライズ(?)が・・・
 実は土曜日に何となく友人と出かけたついでに大潟草原に立ち寄ったのですが、その時同地でヒシクイに混じって白い鳥を見つけました。「ハクチョウかな?」と思って双眼鏡をのぞきましたがどうも違うのです。今度はスコープで見てみるとなんとハクガンでした。その時は「おっハクガンもいるじゃん!」くらいの軽~いリアクションだったんです。それで当日早めに到着してスタッフ打ち合わせをする前に「昨日、A-39でハクガン見ましたよ」とサラッと言ったつもりが「なにっ?本当か??」となって、にわかに慌ただしくなりました。急遽当日の下見をしていたスタッフに連絡を取り今日もハクガンが居るか確認することになりました。それだけではなく県内の野鳥愛好家数名にも電話を入れて「今年ハクガンは来ましたか?」と聞いていますが、どれも「まだ」と言う返事。図鑑でにわかに身につけた私の希薄な知識はグラグラと揺るぎ始めました。「私の早とちりで人騒がせなことしちゃったかな?」と不安になりかけた時、確認しに行ったスタッフから「間違いない!ハクガン25羽いる」と連絡が入りました。「よし!!今日のメインはハクガンに決まりだ!」となりました。私はハクガンを見つけた事がこれほどニュースになるものとは知らなかったのです。ハズカシナガラ・・

土曜日に撮影したハクガン。これがスクープ(?)映像になるとは・・

 ハクガンを見た参加者は「うわ~きれい!」と感激しています。愛好家達も「今日来て良かった」と本当に嬉しそうです。当日のテレビでもハクガンがメインに取り上げられていました。

 北の池ではカモ類の観察をしました。例年多くのカモ類が飛来して地元ではよく知られた観察スポットですが、この日も池全体にたくさんのカモ類が居ました。それが我々が行った途端、驚いて一斉に飛び立ち、4つの集団に分かれて池の上空を旋回し出しました。その飛行ショーは暫く続き、皆さん魅入ってました。カモ達は徐々に高度を下げて、池の対岸側に着水しました。講師の方から「カモは双眼鏡では確認しづらいからスコープで一羽一羽調べないとどんなカモが居るか分からないんですよ」と解説され「何処を見れば違いが分かるんですか?」と質問が飛びます。これが講師陣に火を付け「これがトモエガモです。顔の模様が巴模様になってるでしょ?」「この胸が白くて他のカモに比べて尾が長く見えるのがオナガガモ」と丹念に観察して5種類のカモを見つけました。

北の池で丹念に観察している様子。違いが見て取れると目からウロコ状態。「カモはカモでしかなかったのに・・」といった感想も聞かれた。

その後、承水路でカンムリカイツブリやオオバン、その隣接する水田でコハクチョウ、秋田県立大大潟校敷地内の牧草地でケアシノスリやチョウゲンボウなどを観察して無事観察会は終了。管理棟に戻ってこの日見た鳥を報告しあったら27種類の鳥に出会っていました。この観察会の報告は東北地方環境事務所のHPにも掲載予定です。そちらも併せてご覧下さい。