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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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磐梯朝日国立公園 羽黒

247件の記事があります。

2016年09月20日合同保全作業②飯豊連峰編

磐梯朝日国立公園 羽黒 古川望

 9/10(土)~12(月)飯豊連峰天狗ノ庭にて、合同保全作業を行いました。羽黒アクティブ・レンジャーの今年の仕事の中では、最も多くの人と接する機会をもつ業務です。

 参加者からメールやFAXで受付をすることも業務の一つでした。メールの中には、「こういう作業がしてみたい」「天狗ノ庭には行けないが、当日の荷上げに協力したい」「少しでもできることがあれば」と並々ならぬ思いが書かれていて、身が引き締まる思いでした。

【作業の様子】

 天狗ノ庭はもともとの植生が、登山利用者の影響でスピードを持って変化したと言われています。作業内容は地塘の回復と、植物が生える地盤を安定化させることです。

【地塘掘りの様子】

 以前ここには地塘がありました。しかし土砂が溜まり消失したため、土砂を除くことで地塘の再生に挑みます。新しい保全活動の試みです。スコップで掘った土砂を、バケツリレー方式で運びます。「もう1往復いくぞー!!」「重いよ、気をつけてー」と元気な声が飛び交います。急斜面を運ぶこと3往復、この土砂は土嚢袋に入れる等して後ほど使用しました。

【地塘の様子、約3時間後】

 なんと、約3時間で地塘に水が染み出している様子が確認できました。保全作業では数年かけて効果が見られるため、数時間で様子に変化が見られることはとても珍しいことです。腰が痛い・・・と言いながら土砂を運んだ皆さんの顔は、疲れが吹き飛んで、驚きとうれしさでいっぱいの様子でした。

【当日集合写真】

 2泊3日を50名ほどの参加者と一緒に過ごしました。その中で「無理をしないでいいよ」「羽黒にきてどうですか」「気配りをありがとう」と声をかけてくれる方々がいました。そわそわしているとき、安心できる言葉を伝えることは難しいことです。この3日間ではそれがあらゆる場面で見られました。長く活動が続いているのは、こうした心配りの上に成り立つ関係があってイキイキ作業できているからかもしれません。

 当日参加できずとも荷上げにご協力下さった皆様、大所帯の宿泊に際しご配慮いただいた小屋管理人の皆様、資材を提供いただいた関係者の皆様、ありがとうございました。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。

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2016年09月14日合同保全作業①朝日連峰編

磐梯朝日国立公園 羽黒 古川望

 8/27(土)朝日連峰オツボ峰付近にて、登山道の合同保全作業を行ってきました。

【砂防ダム状に土砂が堆積している様子】

 浮き石、という言葉を学んできました。この写真にある石は大きく2つに分けられます。「動かしてよい石、浮き石」と「動かしてはならぬ石」です。

 保全作業中に動かしてはならぬ石は、そこで生活している石です。石に寄り添うように草が生えています。地面にはまって土砂の流出を抑えている石もあります。一方で動かしてよい浮き石は、足下が固まらずにふらついています。

 作業で石を使用するときは、この浮き石を使うことで、そこで既に生活している石や植物の環境は変化させないようにしていました。

【保全作業地、2年後】

 素通りしてしまうほど小さい植物が生えています。ここはH26年に流路が深く掘れていて、手当てをした場所です。保全作業をして2年が経ちます。時間をかけて土砂が堆積し、そこに種子が入り込んだことで、植物が顔を出していました。

【モニタリングの様子】

 「2年で植物の侵入が見られるのは珍しい」と保全作業の参加者は体を屈ませて観察します。屈み込んで話す様子は明るく和やかで、見ている私も思わず笑顔になりました。土嚢やネットのハンモックをゆりかごに出てきた芽は、笑顔で話しかけられて大切にされています。

【当日集合写真】

 飯豊・朝日両会の保全作業が始まったのは、朝日は8年程前、飯豊は10年程前のことです。長い時間をかけて少しずつ保全手法を確立し、活動が続いています。活動の中では、一人一人を思いやる温和な気持ちも折り重なっているように思いました。

 

 次回は合同保全作業②飯豊連峰編に続きます。

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2016年08月19日「山の日」制定記念第9回月山を外来植物から守ろう

磐梯朝日国立公園 羽黒 古川望

 8/11「山の日」に月山姥ヶ岳リフト上駅周辺で、外来種除去イベントを実施しました。当日は晴天!リフトに乗って上駅へ向かう途中、朝日連峰がくっきりと姿を見せてくれました。また、当日は「山の日」とあって、多くの登山者が訪れている様子が確認できました。

【当日の登山者の列】

 

 リフト上駅に到着して、外来種の除去を行います。今回は鎌を使用しての作業です。除去対象となる植物は3つ、①エゾノギシギシ、②オオバコ、③セイヨウタンポポです。作業中は一般登山者の方へ向けて、「外来種除去作業中」の掲示を4カ所に設置し、34名で作業を行いました。作業時間2時間で110.3kgもの外来植物の除去をすることができました。

【掲示・除去作業の様子】

 

【除去作業の様子】

 

 除去作業後は姥ヶ岳への登山を行いました。今年はキンコウカの当たり年で、金色にきらきら光る湿原や、見頃のニッコウキスゲを見ながら歩いて行きます。

【姥ヶ岳への登山の様子】

 

 姥ヶ岳での作業を終えた後は、「道の駅にしかわ」で月山原水の温泉、水沢温泉に入浴し、汗を流して山の日のイベントを終えました。朝早く集合いただきましたパークボランティアの皆様、また暑い中作業してくださった皆様のおかげで、怪我なく無事に作業を終えることができました。ありがとうございました。

【当日集合写真】

 

 また、準備・下見・当日のリフト乗車について月山観光開発株式会社様には多大なるご理解・ご協力いただきましたこと、この場をお借りして感謝申し上げます。

 

 6月の外来種除去イベントに続き、今回もバスに乗る際に靴底マットを使い、靴の種子を落としています。現在月山8合目に同じものが設置してありますので、通行される際は使用のご協力お願いいたします。

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2016年06月17日磐梯朝日国立公園 第8回 月山を外来植物から守ろう

磐梯朝日国立公園 古川望

 6月12日(日)、「磐梯朝日国立公園 第8回 月山を外来植物から守ろう」が開催されました。

 

 このイベントは、月山にもともと生育していなかった外来植物を、手作業によって除去していこうという活動です。今回はスタッフを含め43名の皆様と活動してきました。

 

 今回のイベントでは月山8合目の駐車場付近において、外来植物「セイヨウタンポポ」の除去を行いました。セイヨウタンポポの種子が「わた毛」になって飛んでしまう前のこの時期に除去作業を行うのは、昨年に引き続き2回目となります。

 

【セイヨウタンポポ除去作業中の様子】

 

 作業時間1時間弱で、37.1kgもの量を除去することができました。この場所のセイヨウタンポポが減った姿を、来年見ることができるのではないでしょうか。

 

 除去作業の後は、月山8合目弥陀ヶ原湿原の観察会を行いました。実は、通常この時期は月山8合目までの道路は通行止めとなっており、自らの足でたどり着かない限り弥陀ヶ原湿原を見ることはできません。ただ今回は、外来植物除去を含めたイベントということで、特別に許可を得て8合目に入らせて頂いております。そのため観察会は普段は中々見ることのできない、誰もいない早春の弥陀ヶ原湿原の景色と花々をゆっくりと楽しんだ、特別な観察会となりました。

 

【湿原観察会の様子】

 

 ご参加いただきました皆様、汗ばむ気温の中でも根気強い作業をありがとうございました。また、弥陀ヶ原湿原でのガイドを担っていただきました羽黒地区パークボランティアの皆様、ありがとうございました。

 

 ところで、どのようにして外来植物の分布は高山にまで広がったのでしょうか。それは種子が登山者の服、靴、工事用資材等に付着して運ばれてきたからだと考えられています。そのため月山8合目の登山道入口には、靴底マットが敷設してあります。登山道に入る前に、靴底に付着した植物の種子等を落としてから登山等をお楽しみ頂くことも、外来植物の分布を防ぐひとつになります。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

 

【靴底マットで種子落とし】  

 

 (今回の外来植物の駆除作業は関係機関・土地所有者の了承を得て実施しております。月山の8合目駐車場より上は、磐梯朝日国立公園に指定されており、植物の採取は外来種であっても許可を受けなければ実施できませんのでご注意ください)

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2016年04月22日羽黒地区パークボランティア年度はじめ集会

磐梯朝日国立公園 古川望

こんにちは。皆さん初めまして。

白銀さんの後任として羽黒自然保護官事務所に勤めることになりました、古川望です。アクティブ・レンジャーとしてこれからたくさんの方々とお会いするのを楽しみにしています。皆様どうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回は4月9日(土)に月山ビジターセンターにて開催された、羽黒地区パークボランティアの年度はじめ集会をご紹介いたします。

羽黒地区パークボランティアの方々は、鶴岡市内、酒田市などにお住まいの方27名で活動されています。月山ビジターセンターの開館当初からボランティア活動をされている方々もおり、環境省主催のイベントでもご活躍いただいています。

まずは集会に入る前に顔合わせ会ということで、自己紹介や近況報告などを行いました。

【顔合わせ会の様子】

 その後、鶴岡市消防署職員を講師にお招きして、消防避難訓練が行われました。

避難訓練では、ビジターセンターの建物内にて火災が発生し、居合わせたパークボランティアの方が消防署への通報、館外への避難誘導(一般来館者役と誘導補助役に分かれて)を行う想定で実施しました。

また、館外にて訓練用の水消化器を用いて、火災時の初期消火訓練も行いました。

【消化器訓練の様子】

同じく鶴岡市消防署職員による、AEDを用いた救命講習会も行われました。AED機器の取扱い方法や、救急車が到着するまでにできることなど、参加者の皆さんが熱心に講習を受けられていました。

【救急救命講習会の様子】

昼食後の年度初め集会では、活動運営基本計画や、月山外来植物除去イベント、今年度の月山ビジターセンター年間事業内容や、月山ビジターセンターのギャラリーの展示方法、活動のPR方法についてなど、様々な内容について意見を交わしました。

年度はじめ集会では植物に詳しい方、鳥に詳しい方、女性ならではの視点で活動される方など、様々な分野で知識と経験をお持ちの方と顔を合わせることができました。林の中で聞いた音を録音してパークボランティアさんに尋ねたところ、キツツキのドラミング(キツツキが木を突く音)だと教えていただきました。一つひとつ学びながら、私にできることを模索して進んでいきたいと思います。

また、私事で大変恐縮ですが、昼食の際に羽黒地区パークボランティアの皆様や月山ビジターセンターの職員の方々から歓迎会を開いていただきました。穏やかで温かい方々に歓迎していただいて、新生活の不安も吹き飛ぶようでした。本当にありがとうございます。

当日に全員の方とお話はできませんでしたが、今後一緒に活動させていただく中でお話を聞かせていただければと思っています。これからどうぞよろしくお願いします。

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2016年03月18日続、冬のできごと

磐梯朝日国立公園 羽黒 白銀 顕

 随分とご無沙汰しておりました。

 冬眠していた訳ではないのですが「冬は何をしているのですか?」と聞かれることも多いので、この冬の業務の一つ、山の保全に関わる活動をご紹介したいと思います。

 といっても、保全に取り組んでいる所は雪の下(風衝地は別ですが)なので実際の作業ではなく、この冬に開催された登山道保全に係る会議を備忘録のような形でご紹介します。羽黒自然保護官事務所は、飯豊連峰保全連絡会と朝日連峰保全協議会の各会の事務局を担い、会議の準備や取りまとめ等を行っています。各会議では主に今年度のふりかえりと来年度の計画について話し合われていました。

・朝日連峰保全協議会幹事会

 平成27年12月15日(火)に山形県朝日町で開催されました。平成27年度の報告では、合同保全作業やモニタリング結果の報告などがありました。平成28年度の計画では、会合や合同保全作業の計画案がまとまり、合同保全作業は平成28年8月27日(土)~28日(日)にオツボ峰周辺で実施する案となりました。次回の第8回会合(H28.5/19)にて協議され、正式決定となる予定です。

・飯豊連峰保全連絡会幹事会

 平成271219日(土)に新潟県関川村で開催されました。平成27年度の報告では、保全技術基礎講習会や大雪山の視察報告などがありました。平成28年度の計画では、各会合と合同保全作業の計画の検討がありました。また、当連絡会が自然歩道関係功労者表彰を受賞し、表彰状が平田代表へ授与されました。

・飯豊連峰保全連絡会・朝日連峰保全協議会幹事会 技術部会会合

 平成28123日(土)に山形県大江町で開催されました。技術部会は、両会の合同で運営されているリーダー育成のための若手中心の会です。この会合では保全工法の技術的な事や合同保全作業時の具体的な作業内容、保全技術講習会の内容検討などがありました。

・飯豊連峰保全連絡会第16回会合

 平成28年1月27日(水)に山形県小国町で開催されました。詳細は、下記ホームページ内の「飯豊連峰保全連絡会ニュースレター第26号」をご覧ください。

■参考HP 磐梯朝日国立公園各種資料

http://www.env.go.jp/park/bandai/data/index.html

冬の間にも山の保全に向けて、このような活動が行われていることも知っていただければ幸いです。

【飯豊連峰梶川尾根上部 保全作業箇所】

 写真は拡幅・荒廃している登山道ですが、永年の保全活動の成果で、見た目にも植生が回復してきている様子が分かるようになってきました。

 話変わりますが、今冬の様子も簡単にご紹介します。事務所のある山形県鶴岡市周辺では、昨シーズンに続いて雪が少ない冬となりました。気象庁によると東北の日本海側では降水量は平年並みだったものの、かなり降雪量が少なかったようです。事務所周辺でも、真冬にも何度か雨が降り、ぐっと積雪が減りました。ふもとで雨だった時に山の上では?他の事務所周辺のこの冬は?気になるところです。

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2015年11月17日磐梯朝日国立公園パークボランティア合同研修会(1日目)

磐梯朝日国立公園 白銀 顕

 磐梯朝日国立公園パークボランティア合同研修会を11月7日(土)~8日(日)に、羽黒地区にて開催しました。1日目の様子を私白銀が、2日目の様子を裏磐梯自然保護官事務所の渡部アクティブ・レンジャーがお伝えします。

 磐梯朝日国立公園内には、裏磐梯地区と羽黒地区の2地区でパークボランティアがそれぞれ活動しています。この合同研修会は両地区の交流やスキルアップを図るため、毎年相互の地区で開催し、今年で6回目を迎えました。

 1日目は、2つの事例紹介を中心としたプログラムです。研修会の回を重ねることによって、お互いの地区の活動が徐々に分かってきたところで「他地域の活動も知りたい」といった声が寄せられていたため、他地域から講師をお願いしました。

 まずは、網張ビジターセンターの大堀拓主任解説員を招き、センターの取り組みや十和田八幡平国立公園八幡平地区パークボランティア(八幡平地区、南八幡平地区、岩手山地区の3地区)の活動紹介などについてお話しいただきました。普段なかなか触れる機会のない他地区の活動状況の紹介に興味津々の様子でした。とはいっても、各地区の特性に合わせた活動内容や組織の運営があるということを、私も含め、みなさん改めて感じているようでした。

 続いて、鳥海南麓自然保護官事務所の鎌田憲太郎自然保護官より「猛禽類保護センター(鳥海イヌワシみらい館)の施設紹介と取り組み」、長船裕紀自然保護専門員より「磐梯朝日公園内の希少猛禽類イヌワシの生息状況と生態」について、それぞれお話しいただきました。話の中では特に、イヌワシの食事風景(肉を飲み込むように食べていました)や繁殖行動などの生態に関する貴重な映像に、皆さんまるで獲物を捕らえるように?前のめりになって映像に引き込まれているようでした。

 さらに猛禽類の生態のあれこれを発見するため、鳥海イヌワシみらい館の体験プログラム「お鷹ぽっぽの絵付け」を体験しました。

 「お鷹ぽっぽ」は山形県米沢市に伝わる木彫玩具です。絵付けでは、タカ型に彫られた木と、図鑑などの写真をじっくり見比べながら、思い思いに絵付けをしました。その中で、猛禽類の目や嘴のつくりや、種によっての違いなど、新しい発見もあったようでした。

 1日目の研修を終えて「他の地区や施設の状況を知れて良かった」、「これまで猛禽類に関わる機会がなかったので大変よい勉強になりました。」、「活動で様々な課題があるが、仲間同志で気持ちよく頑張っていくことができるよう努力していくことの大切さを新ためて考えさせられました。」といった声が寄せられました。

 

 2日目の様子は、渡部アクティブ・レンジャーからお伝えします!

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2015年09月08日平成27年度朝日連峰合同保全作業を実施しました!

磐梯朝日国立公園 羽黒 白銀 顕

 朝日連峰保全協議会の平成27年度合同保全作業が8月29日(土)~30日(日)、銀玉水上部の荒廃箇所にて開催され、事務局として参加してきました。両日ともにあいにくの雨模様となりましたが、朝日連峰を取り巻く各山岳会の皆さんをはじめ、総勢約50名が集結しました。

【登山口にて各班打合せの様子】

 作業地は「銀玉水」という水場の上部、標高約1680m周辺の人為的な影響で荒廃が進行している箇所です。ここは、平成21年設立の当協議会が初めて合同保全作業を実施した箇所でもあります。当時、緑化ネット敷設や分散排水などの作業を行い、一旦は回復した植生も、ネットの消滅や歩行路が再び複線化したことなどにより喪失され始めていました。そこで、再度保全作業を行うことになりました。

【荒廃の状況(7/14)】

 7月に事前下見を兼ねた講習会を開催し、作業計画図の作製や資材・工具の必要量の算出を予め行いました。そして・・・

【荷上げされた資材(黄麻製ネット、ヤシ製土のう袋・ネット・繊維など)】

 事前の保全資材荷上げ協力の呼び掛けに、何と400㎏弱の資材が人力で作業地へ荷上げされました(毎年恒例の荷上げは通称「荷上げ祭」とも呼ばれ、楽しみ?の一つとなっています)。これも朝日連峰を愛する方々の力です。

【作業の様子】

 作業は3班に分かれ、計画図と班長らの指示をもとに、各班着々と進みました。本来の自然の復元に向けて、土砂流出抑制・水流速度低減を図るために土留めをつくったり、植生回復のために緑化ネットを敷設したりします。歩行路の作業では、登山者が歩きやすいように何度も何度も歩いて足の置場を確認しながら、土のうを設置するなどの配慮もされています。皆さん、雨降りの中で土砂にまみれながらも、朝日の山を守りたい一心に一生懸命、ですが、とても賑やかに楽しく進みます(もちろん私も)。

【作業ふりかえりの様子】

 作業終了後には、全員の共有を図るために、各班班長より作業の意図や成果や発表しあいます。ここの荒廃地も二度目の作業となったように、一度作業をしたら終わりではなく、何度も手を入れてあげたり、回復の状況をモニタリングし続けたりしています。とても厳しい自然相手の植生復元には長い時間も、手間も掛かります。また、施工方法も試行錯誤しながら取り組んでいるので、時には上手くいかないこともありますが、保全作業をしたところは「今、どうなっているだろう?」とつい気になり、ますます今後の状況が楽しみに、そして、愛着が増していきます。

 作業にご参加いただいた皆様、大変お疲れ様でした!また、当日の作業に参加できずとも、荷上げにご協力いただきました皆様も、大変ありがとうございました。

■お願い

 作業地には「植生復元中 通行をご遠慮ください」といった掲示がされています。一部登山道が細くなり、登りと下りのすれ違いの際にご面倒をお掛けしますが、その掲示のある箇所は歩くのを避けて通行いただくようお願いします。

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2015年08月12日「磐梯朝日国立公園 第7回月山を外来植物から守ろう」を開催しました。

磐梯朝日国立公園 羽黒 白銀 顕

 平成28年より国民の祝日となる「山の日」8月11日にあわせて、平成27年8月11日(火)に「磐梯朝日国立公園 第7回月山を外来植物から守ろう」を開催しました。

【除去作業の様子】

 今回の行事では、月山スキー場上駅周辺にて外来植物の除去作業を実施しました。夏スキーで有名な月山スキー場ですが、月山登山の際にリフトを利用する方も大勢いらっしゃいます。ここでも外来植物の種が登山者の靴や服、工事用資材などに付着して運ばれ、生育していると思われる外来植物が多数分布(平成25年調査では9種)確認されています。

【除去した外来植物】

 今回は、調査結果や事前下見のもとに「生態系被害防止外来種」該当種の中から、一般参加者による植物の見分けを考慮して、「セイヨウタンポポ・エゾノギシギシ」の2種を対象として除去作業を行いました。参加者27名、作業時間約1時間30分で、生重量93.6㎏もの外来植物の除去を行うことができました。

※「生態系被害防止外来種」については、下記ホームページを参照ください。

■環境省HP外来生物法内 http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/list.html

【姥ヶ岳登山中の様子】

 除去作業後には、羽黒地区パークボランティアの案内で姥ヶ岳へ登り、キンコウカやチングルマ、ニッコウキスゲといった高山植物の花々を楽しみました。

【姥ヶ岳山頂での昼食中の様子】

 曇り空で眺望はいまいちでしたが、月山の爽やかな涼しい風を浴びながら、山頂で賑やかに昼食をとりました。(この頃から、暑い下界に下りたくない旨の声が多々耳に。。。)

 

 月山の高山植物や景色にふれあい、それらを守るために外来植物の除去作業を行い、「山の日」の趣旨「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」に、合致する一日となったように思います。

 

 多くの参加者から「次回はいつ開催する予定ですか?」とお尋ねいただきました。今年度は最後の企画となりましたが、外来植物の生育分布状況を注視しながら、来年度も継続して開催していく予定です。引き続き、活動へのご協力・ご参加をお待ちしています!

 

 今回、共催の月山ビジターセンター運営協議会、後援の西川町、協力の休暇村羽黒、月山観光開発株式会社、月山ガイド協会、関係者の皆様のお力添えで開催することができました。また、参加者の皆様、ガイド役を担っていただいた羽黒地区パークボランティアの皆様、本当にありがとうございました。

※今回の植物除去は、関係機関・土地所有者の了承を得て行っています。また、国立公園 特別保護地区内では、許可なく植物を採取することは禁止されています。

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2015年08月10日「鳥海イヌワシみらい館」でアクティブ・レンジャー写真展開催中!

磐梯朝日国立公園 羽黒 白銀 顕

 全国的に猛暑が続いていますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 日焼けで黒さが増し、「焼けましたね」「もはや黒銀さんですね」と、最近よく言われる白銀です。

 今年も夏休み期間中、山形県酒田市にある「鳥海イヌワシみらい館(猛禽類保護センター)」にて、アクティブ・レンジャー写真展を開催しています。

【写真展会場の様子】

 また、館内では開館15周年夏休み特別企画展示「イヌワシのみらい わたしたちのみらい」展が開催されています。館内を巡りながら「みらい」をテーマに、イヌワシと私たちの今とこれからを考える参加型の楽しい展覧会です。

【左写:「イヌワシ」と聞いて、思いつくことを教えてください。コーナー】

 射的を使って問いに答える展示は、子どもたちに大人気です。

【右写:自転車をこいで発電(ランプ点灯)体験コーナー】

 実際に電力を生み出す大変さを感じた後には、展示の問いかけや資料などからエネルギー問題を考えさせられるコーナーとなっています。この展示をとおして、何と「テレビを見るのをやめます!」と言い出したお子さんもいらっしゃったようです。


 他にも、参加型のアンケート展示がたくさんあり、体も頭も使いながら、「みらい」について考えるふか~い展覧会となっています。

アクティブ・レンジャー写真展と同じく、8月31日(日)まで開催されていますので、鳥海山登山の際など、近くにお越しの際は、是非ご来館ください。

■鳥海イヌワシみらい館ホームページ

http://www.raptor-c.com/

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