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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

羽黒自然の小径・晩冬 雪がもたらした新世界

2025年02月18日
羽黒 守屋明子
暦の上では晩冬とされる1月。羽黒山の中腹にある月山ビジターセンターと、羽黒自然の小径(散策路)周辺は何度か寒波が引き連れてきた大雪に見舞われました。
1月中旬の大雪直後は、ビジターセンターもすっぽり雪の中に。
月山VC
大量の雪を除雪
月山VC
道路側の看板も大半が埋没
月山VC
窓外には四角い豆腐のようなモンスターが (屋根からの落雪です)
月山VC
落雪も除雪機で飛ばされます
二夜の池
雪の帽子をかぶったイワガラミ
二夜の池
見上げるとイワガラミとカラマツが雪化粧
そんな大雪の3日後は一転して快晴。青空が広がると、雪の中でじっと耐えていたすべての生き物達が、貴重なチャンスを逃さないように、とたんに動き出すようです。
月山ビジターセンターから少し羽黒山の中に入ると、鳥の声が響き、冬にしか見られないものたちが姿を現していました。
羽黒山
葉っぱを落としたブナはのびのびとした姿を見せます
羽黒山
ブナとスギが身振り手振りでお話し中
羽黒山
ブナに寄生したヤドリギも冬はかくれんぼを中断
羽黒山
ウサギが往復したのかすれ違ったのか
羽黒山
雪上に寝転ぶイワガラミ
羽黒山
脱出を試みるユキツバキ
雪が降らなければ登山道以外は歩けませんが、雪が草木を覆い尽くしてくれるおかげで自由自在に歩けるのもこの時期ならではのチャンスです。
 
見晴らしの良い場所に出ると、冬の間はめったに見られない月山が一望できました。冬の山は地表の植生が雪に覆われることで山ひだが露わになって、地形がわかりやすくなります。なだらかに見える月山も、よくよく見ると凹凸や平坦地が混在。火山噴火や崩壊によって成り立ってきた複雑な作りであることを感じられます。
月山八合目に位置する高山の湿原、弥陀ヶ原もくっきり。色とりどりの花が咲き乱れる夏の弥陀ヶ原からは想像もつかないような、一面の雪原に様変わりしていました。
羽黒山
羽黒山キャンプ場からは月山北面を望めます
羽黒山
中央の平坦地が雪に覆われた弥陀ヶ原
目を麓に移してみると、羽黒自然の小径の二夜の池にも雪原ができていました。雪で水面が覆い尽くされんばかり。いつも大きな声を張り上げていたカモたちもこの時期ばかりは姿を消し、静寂な空気に包まれていました。
二夜の池
なめらかな雪原に変身
二夜の池
水面がどんどん小さくなっていきます
積雪期以外は草木で覆われた池の端にお邪魔してみると、ビジターセンターとその先に月山。実は二夜の池から月山が見えることを初めて知りました。雪の時期ならではの風景を発見しました。
月山VC
積雪期しか行けない位置からのビジターセンター
月山VC
ビジターセンター右奥に白く輝く月山
雪量が少し落ち着いてきた1月下旬。二夜の池では小さな生き物がひっそり活動していました。
二夜の池
軽やかな足跡は池の表面にも続く ※ヒトの歩行は危険です
二夜の池
埋もれていたタムシバの芽が出てきました
これから雪解けの3月下旬頃まで、雪が降ったり融けたりを繰り返し、そのたびに作り出される唯一無二の世界が出現していきます。
 
 
※冬期間の月山ビジターセンター周辺・羽黒自然の小径の歩行路は雪に覆われています。
必ず月山ビジターセンターで状況やルートをご確認の上、かんじきやスノーシュー、雪山を想定した装備でご利用ください。
 
月山ビジターセンター
WEBサイトでも周辺の自然情報を発信中。冬季はスノーシューの貸し出しを行っています。
2月~3月上旬にはスノーシューでの周辺案内を実施しています。
月山ビジターセンターでは、屋外活動だけではなく、館内でゆっくり過ごしていただくことも可能です。
大きな窓から外の雪景色を眺めたり、暖かいペレットストーブの前で本を読んだり、経験豊富な解説員によるインタープリテーションを受けたり。
国立公園での滞在時間をお楽しみください。
月山VC
月山ビジターセンター
月山VC
貸し出し可能なスノーシュー・ストックを用意しています

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