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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

自然を活かす上質なツーリズム人材育成・地域作り支援事業講師派遣 価値は創って育てるものと知る

2025年02月14日
羽黒 守屋明子
環境省「令和6年度自然を活かす上質なツーリズム人材育成・地域作り支援事業」の研修に、出羽三山(羽黒)地域のメンバーの1人として参加しました。

環境省では「地域の自然を活かした上質なツーリズム」を以下のように定義しています。

 地域社会の持続的発展を目的とし、地域の各主体が連携して来訪者に地域固有の価値に基づく感動や学びの機会を提供し、自然環境保全・環境意識向上に寄与する観光のあり方

そして、環境省では「地域の自然を活かした上質なツーリズム人材育成・地域作り支援事業」として、全国各地で観光地域や施設の運営の中核を担う人材向け(施設・ガイド等、観光協会やDMO、行政関係者等)に、研修や有識者の現地派遣を行っており、エコツーリズムやインタープリテーション、マーケティング等の各観点から自然資源保護・利用の好循環の実現を後押しています。
出羽三山地域では、月山ビジターセンター、地域関係者と、国立公園ビジターセンターの活性化による地域貢献を目的に本研修に応募しました。まず2024年11月に栃木県那須町で開催された集合研修(全国11地域が参加)を受講し、チームのテーマを実現するための「行動計画」を作成。12月にはオンラインによる行動計画発表会において、各地域の参加メンバーや、多岐にわたる専門家を集めた講師陣から、計画の内容に対するフィードバックを得ました。
 
そして2025年1月29日(水)~31日(金)に特定非営利活動法人ホールアース自然学校代表理事の山崎宏先生を講師に迎え、現地での研修(講師現地派遣)を行いました。実際に地域の持つ資源(フィールドや施設)を一緒に視察し、状況を把握した上で、行動計画に対するアドバイスを行っていただきました。
 
実施期間は大雪や強風が重なったため、天気に合わせて柔軟に対応。その分、冬の庄内地方らしいダイナミックな気象の変化を体感。さらに、体験を通じた先生からのアドバイスやディスカッションを通じて、羽黒山での自然体験、月山ビジターセンターの施設、周辺の自然観察路(園路)について、普段そこにいるとなかなか気付かない希少性や価値を、あらためて認識する機会となりました。
視察では、普段特別に感じなかったような場所やモノが価値の種であることを発見することになり、さらに、その種をどう価値に育てていくか、参考になる事例や、自ら考える促しをいただきました。
月山VC
時折あらわれた晴天時には園路の視察に
月山VC
一見無価値な場も魅力的な雪原と知る
月山VC
園路を歩き始めてわずか20分程度で急変したダイナミックな空
月山VC
急いで園路から戻る。待避も想定して使用できる施設併設の園路は、気象変化の体験の場にもなりそうです
羽黒山
羽黒山参道 山岳信仰を生み出した自然の中へいざ
羽黒山
見慣れていたスギとブナの共存も稀な光景だと先生に教えていただく
羽黒山
雪をまとうスギたちからも読み取れる自然がある
羽黒山
ユキツバキのしなやかさもこの地を生き抜く秘訣
羽黒山
大きな広葉樹の森へ
羽黒山
羽黒山キャンプ場には若々しい林が広がる
月山VC
雪の二夜の池はこの時期だけの特別なフィールドに
月山VC
木に着いた氷も特別な体験を作る要素
1月31日(金)には、どなたでも参加可能な講演会を開催。「地域の自然と共に歩む価値創造~ホールアース自然学校の自然教育」をテーマに、山崎先生が富士山麓で実践されてきた地域の自然資源の価値を創る取り組みや、その礎となった理念の紹介を、関心が高い方々に聞いていただく機会を設けました。「今まで月山ビジターセンターに来たことがない」という方も含め、30人を超える方が来場。極寒の屋外と対照的に、レクチャーホールが先生と来場者の熱気で溢れ、新たなビジターセンター活用の可能性をも感じました。
月山VC
看板を埋め尽くす程の積雪にも関わらず多数来場
月山VC
白熱の講演を熱心に聴講いただきました
この研修によって、当たり前のように認識していた国立公園ビジターセンターの役割を、先生や来場者の方々から教えられ、新たな視点から考えさせられました。そして「価値は創るもの」であることを教えていただき、この先も価値を創り育てていくために何が必要なのか、気づきを得た3日間でした。

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