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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

秋のふりかえり-登山道保全作業

2024年11月05日
裏磐梯 石川 麻里子


こんにちは。
秋のふりかえり第二弾は、9~10月に行われた登山道保全作業についてお届けします。

​■9月23日(祝) 西大巓~西吾妻山


西大巓直下の稜線は、チングルマやイワカガミなどの花が斜面を彩るきれいな稜線ですが、土壌が流れ植生が登山道まで落ちている状態でした。これまで長く、高山の原生林を守る会さんが中心となって、踏み荒らし防止のためのロープ設置作業など活動されていたところで、令和4年から、環境省の国立公園満喫プロジェクトの一環で、モデル地区として登山道保全作業を行っています。今年度は3年目になり、一般ボランティアを募集するなど、活動の輪が少しずつ広がっています。
 
9/23はあいにくの雨のなか、一般ボランティアの方や関係者含めて総勢38名で作業は行われました。
 
山頂では雨が降っていました
途中から雨が降り始め、西大巓山頂はどんより雨。そしてこの日は気温が低く、身体に応える寒さでした。
作業を行うパークボランティア
裏磐梯ROとPVさんは登山道整備班。浮石を避け、歩きやすいよう大きくて平らな石を置く作業を行いました。資材はその場にあるものを中心に活用します。

登山道保全作業は、山頂についてからが本番、というなかなか厳しい世界です。晴れていれば、美しい景色に元気をもらいながら作業を行うことができますが、この日は真っ白・・・。皆で励まし合いながら作業します。
 
アドバイザーの中里さんや高山の原生林を守る会の諸先輩方から教えていただきながら、「自分が登山者だったら…」という視点を意識して行いました。悪天候でしたが、おかげで雨水がどのように流れていくかがはっきりと見えます。PVさんと「この方向に雨が流れるから石はこうして…」と試行錯誤しながら作業ができ、とても勉強になりました。
 
悪天候の中、ご参加いただいたみなさんには本当に感謝です。お疲れさまでした。


 

■10/12(土)安達太良山


この日世間は三連休!奥岳登山口は大賑わいでした。さすが安達太良山です。
作業場所は馬車道方向から入り、くろがね小屋の手前の勢至平分岐~峰の辻間です。令和5年から、環境省の国立公園満喫プロジェクトの一環として登山道保全作業を行っており、今年度は2年目になります。
 
参加者は総勢18名。今回は初めて一般参加者を募集し、3名の方にご参加いただきました。
天候にも恵まれて、紅葉の安達太良山を望みながらスタートします。
 
道中登山道保全に関する説明が行われました
目的地までは、アドバイザーの中里さんから登山道の状況や改善点などの説明があり、皆さん熱心に耳を傾けていました。
登山道に水が貯まっている様子
勢至平分岐を峰の辻方向へ入り、作業場所へ。昔の登山道が水たまりとなり、現在はその脇を歩くようになっています。
雨水を逃がす横断溝
雨水を登山道脇へ逃がす横断溝を作りました。
土嚢をつくる様子
横断溝などをつくるための土嚢も現地で作ります。登山道では、土を取っても影響のない場所探しが重要。登山道脇の水が流れるところに、流れてきた土砂が溜まっているため、そこを表面からすくい取っていきます。
壊れた階段を直す様子
木材と土嚢を使って壊れた階段を修復しました。

作業内容の難易度や人数などにより、作業できた箇所は少なかったですが、出来栄えもよく、とても歩きやすくなりました。登山客の方々から「何をしているんですか?」「ありがとう」「ご苦労様です」と声をかけていただくことも多く、活動のPRもできたのではと思います。
 
安達太良山は登山道の荒廃が進んでおり、段差やぬかるみなどが多く、決して“歩きやすい山”ではないと個人的には思っています。ロープウェイで途中まで上がることができますが、そこから先は登山道であることを認識して、自身の体力や装備と相談した上で登ることをおすすめします。
 
 


 
グリーンシーズンの登山はもうすぐ終わりですが、登山道の保全は、歩く登山者ひとりひとりの意識も大切です。こうした保全作業に参加すると、足を置く場所などを意識するようになり、気づかないうちに歩き方が変わってくるかも・・・!
登山道の保全作業は、環境省だけでなくさまざまな団体が実施しており、一般の方にも広く参加を募集していることがありますので、機会がありましたら、是非参加してみてください。
 
 
(おわり)