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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

井土浦を歩く

2024年09月25日
仙台 鎌田 和子
こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。
8月下旬に再び、国指定仙台海浜鳥獣保護区井土浦特別保護地区の貞山運河より海側を巡視してきました。
日差しの強さはありましたが潮風の心地よさを感じながら、長距離の防潮堤を歩くことができました。
井土浦へ向けて防潮堤を歩く
深沼海岸から井土浦の入り口まで南の方へ防潮堤を歩きました。潮風は気持ちよいのですが、台風の影響なのか波が高いようです。
浜に打ち上げられたスナメリの死骸
しばらく歩いたら、海風が運んできたぷーんと何かが腐っているような匂いがしてきたので、匂いの方を見てみると何かの死骸のようです。近くまで行って確認したところ、約90㎝のスナメリでした。荒波で打ち上げられたのでしょうか。
井土浦の入り口
防潮堤から歩くと前回紹介した看板のところからの井土浦に向かう道です。松林が育ち、草原が広がっています。
8月の巡視の際に確認したいきものを紹介します。
先に在来種の植物2種を紹介します。
結実したハマボウフウ
ハマボウフウの大きな株で、しっかり結実し、根元に種子がこぼれ始めていました。来年の春親元で発芽するのが楽しみです。 大、中、小の株が点在し、少しずつ震災から回復してきているようです。
コマツナギ
マメ科のコマツナギです。草本状の低木です。震災前も井土浦や貞山運河沿いのサイクリング道路の周りで観察できていた植物の一つです。
これから紹介するのは外来種です。
タカサゴユリの群落
井土浦にはそぐわないタカサゴユリの群落。このような場所が5カ所位点在していました。台湾原産の庭から移出した植物です。
アメリカネナシカズラ
ハマヒルガオなどの海浜植物に黄色いネットが被せたようになって生えていた植物は、アメリカネナシカズラでした。北アメリカ原産のつる性の寄生植物です。
砂浜や河原で8月頃から目立つ昆虫です。
ヤマトマダラバッタ
海浜植物を観察していると、足元から、サーッと移動していくバッタ、中々写真を撮らせてくれません。漸く撮影してみたら、ヤマトマダラバッタでした。体色は基本的に灰色で生息環境の砂浜では、見つけにくいです。
カワラハンミョウ
こちらはカワラハンミョウです。歩いていると、私の先へ先へと導くように飛んでは降りて、飛んでは降りるような行動をしていました。撮影してよく見てみると、オスとメスのおんぶペアでした。
東日本大震災で大きなダメージを受けた砂浜や湿地が回復してきています。様々な生き物が生息、生育してきていることを、井土浦を歩く度に発見、観察できることは、とてもうれしく思います。そろそろ、秋の渡りでシギチドリ類を観察できたらと思うのですが、今回はまだ確認できませんでした。観察できる日を楽しみに待ちたいと思います。