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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

愛鳥週間

2024年05月10日
大船渡 坂本麻由子
こんにちは。大船渡管理官事務所の坂本です。
 
野鳥のさえずりや巣材集めをする姿に心がほっこりする季節になりましたね。
野鳥がより活発で、人々も活動しやすい時期に設定されたという日本の愛鳥週間は、5月10~16日の1週間です。
普段気にしていない方もこの一週間は野鳥の声にちょっと耳を傾けてみませんか。
 
季節により飛来する種類が変わったり、環境や植生により見られる種類が変わったり、自然を感じる上で野鳥に学ぶことも多いです。
まだまだ野鳥観察初心者ですが、身近な所から触れ合い勉強していきたいと思っています。
 
今日はある野鳥の話題をつづってみようと思います。
碁石海岸インフォメーションセンターに立ち寄った日のこと。
箒で掃き掃除するスタッフ
スタッフが駐車場をお掃除中?
「掃いても掃いてもあっという間に松ぼっくりがいっぱい溜まっちゃうんです」
と駐車場にばらまかれた松ぼっくりを掃き集めていました。
その後打合せを終え再びその場を見てみると、きれいにしたはずなのにまたたくさんの松ぼっくりが散乱しています。
 
ここ数日、同じ場所で掃き集めた松ぼっくりがこちら。
どっさり積まれた松ぼっくりの山
これだけの量の松ぼっくりを落とす犯人は、風ではありません。
マツのタネが大好物の『イスカ』という鳥の仕業です。
イスカのオス
スズメよりちょっと大きめの赤い鳥『イスカ』(オス)
西洋ではイスカはキリストが十字架に貼り付けられた釘を引き抜こうとしたため、嘴が曲がったと言われていると聞いたことがあります。
嘴が交差しているのがわかるシルエット
嘴が交差しているのがわかりますね
逆光でシルエットの写真になりますが、嘴が交差しているのがよくわかりますよね。
この嘴を使ってマツやモミなどの針葉樹の種子をほじって食べます。
ついている松ぼっくりをほじることもありますが、最初に松ぼっくりの根元を噛んで枝から外し、安定するところに持ち運んでから足で押さえてほじほじすることも多いです。
食べ終わった松ぼっくりはポイっと落としてしまうのです。
落とされた松ぼっくり
落とされた松ぼっくりを見てみるとこんな感じ
お気に召さなかったのかちょっとかじってポイ、そんな松ぼっくりがどんどこ落ちてくるのです。
 
この時期のイスカは10羽以上の群れを成して活動しているようで、碁石海岸ではあちこちで確認することができます。
松林の中を歩いていて「プチプチ」とイスカが食事している音がしたら、姿を見れるチャンスで“イスカツリー”と化したマツの木がすぐ近くにあります。
1本の同じ木に止まって群れで食事をします
枝から外して持ち去ろうとしています
一生懸命ほじほじしています
メスは地味な黄色みがかった色をしています
イスカが落としてきた松ぼっくりが頭に当たると「ラッキー!」と思うのは私だけかもしれませんが、パッと見ればただ散らかっている松ぼっくりもこういう野鳥たちの仕業と分かれば見え方が変わってきませんか?
 
インフォメーションセンターのスタッフにとっては困ったイスカではありますが、マツ枯れ被害を免れ豊かな松林があるが故と考え、根気強く掃き掃除を続けていただきましょう。
イスカが落としてスタッフが集めてくれた松ぼっくりは、キャンプ場で無料の焚き付け材として利用していただいています。
 
この愛鳥週間で、自然の中で生活している野鳥たちを観察しつつ、野鳥を取り巻く自然について考える時間を作ってみてはいかがでしょうか。