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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

出羽三山 残雪期の月山巡視

2024年04月23日
羽黒 守屋明子
4月12日(金)、出羽三山の主峰・月山で巡視を行いました。
 
羽黒自然保護官事務所の管轄地の大部分が山岳地です。山岳地の巡視は天候に大きく左右されます。そのため計画通りにいかないことも多いですが、この日は快晴・微風の好天に恵まれ、予定通りの巡視を果たすことができました。
月山
牛首付近からの月山山頂方面
月山
三角点から北側尾根を望む
月山
多くの雪が残る山頂台地
月山
一面のフィルムクラスト
月山
芭蕉の句碑(左:背面)と氷の碑(右)
月山
朝日連峰を眼下に下りていく
この日は月山スキー場のオープン日。それは当事務所における山岳地巡視の幕開けでもあります。毎年4月初旬にある月山スキー場開き式典出席後に、その年の状況に応じた巡視を行っています。
前年の式典の日は月山リフトが運休となったこともあり、月山南麓を巡視しました。
今回の巡視は月山リフト上駅から山頂までの区域としました。月山には豊富な雪が残り、登山道はほとんど雪の下でした。
ただし例年より高温が続き融雪スピードが速く、雪の状態が1日の中でも大きく変化しています。残された雪は融解と圧縮を日々繰り返し、夏に向けて硬くなっていきます。巡視から10日ほど経過した4月23日、月山山頂から直線距離で約20km離れた羽黒町に設置されたライブカメラ映像を見てみました。山の稜線が黒く現われているのが見て取れ、この10日のうちにも雪がみるみると解けている様子がうかがえました。
 
なお月山登山に関しては6月下旬頃の県道月山公園線(鶴岡市羽黒町側)開通や、7月1日の開山祭を節目に本格的な夏山シーズンの開幕となります。それまで夏山に向けた受け入れ準備が徐々に進められますが、場所によっては登山道や標識は雪に埋もれ、地形図や登山アプリ等から歩行ルートを自身で判断する必要があります。
融雪によって登山道が完全に現われるまでは、部分的に雪渓や雪田の上を歩くことになり、雪に慣れていないと通行には時間がかかります。また、急な天候の変化に見舞われることもあります。特に霧で視界がなくなると、月山上部の地形は目印がなく現在地や方角がつかみにくいです。
入山される場合には時間に余裕を持った計画、天候に関する情報収集、雪山を想定した装備等、万全にご準備ください。
月山
牛首~リフト上駅間トラバース 砂漠のような光景
月山
雪渓上で霧に巻かれると前後左右不覚に(令和5年7月撮影)
そして、雪の消えた箇所では高山植物が露出してきます。登山道が出ている場合にはなるだけ登山道を利用し、植生(植物が覆っているところ)に入り込まないでください。里山の草木とは違い、山岳地の高山植物は、栄養に乏しく寒冷な山岳地の厳しい環境で暮らしています。里山の草木よりも生育には時間がかかり少しのダメージでも命取りになります。踏みつけたりしないように大切に見守ってください。
月山
顔を出してきたハクサンシャクナゲ
月山
極寒の山頂台地で凍てつきながら冬を乗り越えたハクサンイチゲたち
月山
ハクサンシャクナゲの花(令和5年7月撮影)
月山
ハクサンイチゲの花(令和5年7月撮影)