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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

名取川ヨシ原の火入れ

2024年04月02日
仙台 鎌田 和子
こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。
国指定仙台海浜鳥獣保護区の南側を流れる名取川で、3月23日に行われたヨシ原の火入れを紹介いたします。
 
かわまちづくり閖上地区の事業の一環で行われている名取川河口近くのヨシ原の火入れの検討の勉強会に、昨年度からに、環境省も参加することになりました。過去より行われていた名取川河口域のヨシ原の火入れの取組を再開することで、生物環境の保全、地域の活性化、また自然体験の場を創出、子供たちの環境教育に繋げる取り組みです。
そして、干満のタイミングを考慮して火入れの日を決定し、着火、火消し、ゴミ拾い、見学者対応などそれぞれの役割分担を行い、総勢50名以上が当日を迎えました。
【参加団体】
かわまちてらす閖上/国土交通省仙台河川国道事務所/名取市/仙台市/名取市消防本部/東北大学/国立環境研究所/環境省東北地方環境事務所 
閖島(ゆりしま)となづけられたヨシ原
昔から閖上で親しまれてきた中州を、今回の火入れを機会に、閖島(ゆりしま)と名づけられました。後ろの橋は閖上大橋です。
かわまちてらす閖上のある河川堤防の上は見晴らしがよく安全に、ヨシ原の火入れの様子や、名取川で見られる水鳥などの観察することができます。そこに双眼鏡ブースを設置し、ヨシ原を焼くことでどのような効果があるのかなどを訪れる皆さまに解説しました。
東北地方環境事務所の羽井佐次長、佐々木専門官、村田専門官、鎌田ARの計4名で対応にあたりました。
双眼鏡体験ブースに展示したパネル
火入れの価値と 生物多様性保全について説明したパネルを展示しました。保全室の佐々木専門官が作成しました。
双眼鏡体験ブースを担当
訪れた子供たちと、双眼鏡や望遠鏡でウミアイサ、マガモ、ウミネコ、ホオジロガモなどを観察しました。
双眼鏡体験ブースの前の人だかり
ヨシ原に着火される頃には、大勢の観客が集まりました。
午前9時、風向、風速などの点検事項を確認して、ヨシ原に火入れ宣言が出されました。どのくらいの時間で燃えるのだろうか、皆さんが注目しています。
ヨシ原に炎と煙が見え出した
ヨシ原に着火され、炎と煙が上がり、バチバチと音がしました。堤防上からでも炎の暖かさを感じる 程の火力でした。
炎が大きくなり、ヨシ原を焼いていく
炎がどんどん大きくなり、ヨシ原を焼いていきます。
鎮火の確認作業
着火からおよそ15分、水際のヨシは一部焼け残りましたが、ほぼヨシ原は黒く焼きあがりました。鎮火宣言が出された後も、名取市長、仙台河川国道事務所長、当事務所の次長や担当の皆さんが見守っています。
この日は、かわまちてらす閖上から、できたてのポン菓子や温かな甘酒が振舞われ、見学に訪れた皆さまは、ポン菓子や甘酒をごちそうになりながら、ヨシの火入れを見学することができました。
鎮火後のゴミ拾い
鎮火した閖島に上陸して、ゴミ拾いが始まりました。
閖島のヨシ原が緑に覆われる4月下中頃には、ヨシ原で営巣するため渡ってくるオオヨシキリなどが観察されるようになります。
 
新年度も、仙台自然保護官事務所の管轄する宮城県内の国指定鳥獣保護区を中心に、自然情報を伝えていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。