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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

トレイルづくりを進めています

2023年11月28日
十和田 中園 顕三
こんにちは。アクティブ・レンジャーの中園です。
ご紹介するのは、来年度秋の運用開始を目指している八戸十和田トレイル(仮称)です。
八戸駅から十和田神社までの約120kmが1本の道でつながる事で、八戸市・南部町・五戸町・十和田市の2市2町を通しで歩くことができます。
今回お伝えするのは11/16からの3日間、トレイルの魅力を発掘する目的で行われた「モニターツアー」の様子です。
祈願
十和田神社で安全祈願
本トレイルの起点かつ終点でもある十和田神社は十和田信仰の中心であり、近年はパワースポットとして注目されています。
江戸時代には南部藩各地から参詣客が訪れ、トレイルの経路である十和田山はカミの山「御山」と呼ばれてきました。
世界最大の二重カルデラ湖である十和田湖の起源はおよそ20万年前の火山活動と言われており、奥入瀬渓流の形成を始め特異な地形や文化を育んできました。
中湖
瞰湖台から臨む中湖(内側にできたカルデラ湖)
歩き出して1時間半後、中湖カルデラを一望できる瞰湖台に着きました。
展望台のすぐ脇には、中湖カルデラを形成した約5400年前の噴火による火口壁を間近に見ることができ、火山活動のすさまじさを実感します。
この後は、十和田山への登山口である宇樽部(うたるべ)に向かいます。
ちなみに宇樽部の「べ」はアイヌ語の「川、沢」を意味し、十和田湖に東北文化が色濃く残されていることが分かります。
十和田山
十和田山に至る道
宇樽部でトイレを済ませ、十和田山山頂を目指して歩きます。
標高1,054mは決して高くありませんが、起伏が大きく簡単に登れる山ではありません。そして、山頂に近づくほどに困難さが増します。
今回のモニターツアーに同行して頂いたハイカーは日本各地、さらに海外のロングトレイルを歩いた経験を持っていますが、その人が厳しさを感じる場面がありました。先日に降った雪が残っていたこともあり、難易度は気象条件によって左右されます。低山を侮る(あなどる)なかれ、です。
十和田湖
山頂からの下りで見る十和田湖
今日のトレイルの終盤、十和田湖を垣間見ながら山を降ります。
歩を進める度にカルデラ湖が迫ってくるのに興奮を覚えてしまいます。
一緒に歩いた長距離ハイカーの長谷川氏が言っていた言葉が印象的でした。
「十和田湖の地形と成り立ちがよく理解できた」
このトレイルの魅力を端的に表している言葉だと僕は思います。
下山
十和田山を無事下山
十和田神社から子ノ口までの約17kmを歩くことで、今まで見えなかった数多くのものを見ることができました。
長く歩くことで見えるもの、分かることがまだまだあるのを予感させる(ワクワクさせる)そんなモニターツアーでした。
続編もありますので、どうぞお楽しみに!