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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

みちのく潮風トレイル*石塚峠

2023年06月02日
大船渡 坂本麻由子
こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
 
木々の葉も大きく開き、芳しい花々を楽しめる季節、たくさんのハイカーがみちのく潮風トレイルを楽しみに三陸を訪れています。
外国人ハイカーの姿を毎日のように見かけるようになり、世界の国々と自由に行き来できる日々が戻ってきているなと実感しています。
みちのく潮風トレイルを通し、日本の、三陸の今を楽しんでいただけたら嬉しいです。
海外からのハイカーが歩く
海外からのハイカーも続々歩いています。
ハイキングを楽しんでいただけるよう、管理側はルートのチェックを定期的に行なっています。
先日の釜石市石塚峠ルート巡視の様子をレポートします。
 
石塚峠は盛岡南部藩と仙台伊達藩との境界でもあり、街道の当時の様子を残している貴重な峠です。
歴史を物語る塚や切り通しなど、当時から残る現物に触れ、時空を想像しながら歩みを進めるとより一層楽しくなります。
石塚峠
ルートの最高地点、当時の面影を残す石塚峠。一段上の人がいる足下に一等水準点標石が残っています。古いものだそうで貴重な遺産。せっかく峠に来たのならちょっと登って探してみてください。
一等水準点標石
印杭とは、藩境に打たれていた杭のこと。藩境は西は駒ヶ岳(岩手県北上市)から唐丹湾(岩手県釜石市)まで130㎞もあるそうです。わずかに残っていた印杭の一部は市内の郷土資料館に大切に保管されています。こちらの写真は現地で今も見られる一等水準標石。
崩れかかっていたルートを確認
大雨で崩れた山肌の状況を確認。現在は安全な迂回ルートをご案内していますが、今後の対応を検討していきます。
通行の邪魔になる枝を除去
ルート上に伸び伸びと枝を広げる樹木。まだ元気に生きている木ですので通行に支障がある部分だけ処理しました。
2019年の台風で壊れた水路
2019年の台風で壊れた地中の土管がむき出しになっています。時が経ち土砂が溜り、人が踏み固めてなんとか歩ける状態に。
大量の水が流れ掘れてしまった道
大量の水が流れ掘れてしまった道ですが、枝や石などが土砂をせき止め、徐々に高さが出てきました。破壊も復旧も自然の力、少しでも力になればとここを通るときは周りに落ちている枝を拾ってきて溝に放り込みます。
この他標識のチェックやトレイルテープの更新、必要であれば草刈りなどを行いながらルートを歩いています。1日で10㎞も満たない範囲しか見回ることができないので、全線パリッと綺麗に、とは行きませんが、地元の方が整備してくれた痕跡やハイカーの気配を感じる足跡など嬉しい発見もしながら、地道に巡視に精を出しています。

 
地元の方が草刈りをしてくれた場所
地元の方が草刈りをしてくださっていました。ありがとうの気持ちを込めてトレイルテープを結びました。地域の人と一緒に育てている感じがして嬉しいです!
テープを結びたくても結べない場所もあります
テープを結びたくても結べない場所もあります。色々工夫を試みているので、標識やテープを見てこちら側の思いを想像してみるのも楽しいかも?
みちのく潮風トレイルを歩く前には是非一度ご確認ください。⇒ みちのく潮風トレイル注意情報(みちのくトレイルクラブHP)


締めくくりは巡視中に出会った季節の情報です。
今の時期はハクウンボク(白雲木)が見頃です。足下に白いかわいらしい小花が落ちていたら見上げてみてください。
足下に落ちている白い小花
足下にたくさん落ちている小さな白い花。辺り一面に散らばっているのでなんだろう?と思いますよね。
見上げると房状に花を付けているハクウンボクがあります
見上げると房状に花を付けているハクウンボクを見つけられるでしょう。見上げて空を背景にこの花を雲に例えたネーミングにキュンとします。
旬の情報に入れさせていただきます。
実はこの巡視中、ツキノワグマをみかけました。
昨今近隣各地で目撃情報が寄せられています。
これから夏にかけ、クマにとっては食糧難の時期となり、食べ物を求めて行動範囲が広げることで人間の生活圏近くまで出てきてしまうことがあります。
我々もクマの生態について学び、自然の中に足を踏み入れるときは装備・役割分担を決めるなど気をつけています。
みなさんも十分にお気を付けください。

クマを知って事故を防ごう(環境省)