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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

3/11によせて、八幡平の樹氷

2023年03月14日
十和田 伊藤 あけみ
今年も穏やかに3月11日が過ぎました。三陸出身の私は、最近やっと海にむかってシャッターがきれるようになりました。海のそばで生まれ育ち、山のそばで長く生活し、自然と向き合い過ごしてきました。現在は、素晴らしい十和田湖を愛でながら仕事をさせていただく幸せを、日々感じております。
 
十和田湖
何度でも紹介したい大好きな風景
雄大な十和田湖は普遍ですが、小さな変化は様々あります。私が十和田湖に着任以来、龍神様と崇めていた倒木はすっかり消えて無くなりました。
龍神
①2017年初冬
龍神
②2018年初秋
龍神
③2022年春
①②の倒木は豪雨のたびに③のように流されて行き、今では跡形もありません。
さて、前回は八甲田の樹氷をご紹介しましたが、今回は十和田八幡平国立公園のもう一つの樹氷スポット、八幡平をご紹介したいと思います。八幡平周辺の樹氷は、1月から3月初旬まで見る事ができます。山頂周辺の樹氷を鑑賞するためには、秋田側は秋田八幡平スキー場より、岩手側は、地熱発電所のある御在所より入山します。秋田側は2月末頃には、山岳会のボランティアによりルートに沿ってに竹竿が設置され、天候に恵まれれば迷うことはありません。しかし、八幡平という名のとおり、山全体が平らであるため、竹竿が見えなくなる天候の時もあります。そのため、ルートを確実に見極められる技術と、天候急変に対応できる体力や、判断力が必要とされるため、一部の方々より「登山者の聖地」と呼ばれています。3月11日~12日に秋田側から登った、八幡平の様子です。
樹氷
かなり痩せ細って枝がみえています
樹氷
すっかりとけて樹木があらわれているものとしっかり氷がついているもの
樹氷
樹氷原の夕暮れ
月
12日早朝に月が樹氷原に沈む
樹氷
岩手山がかすんで見える
畚
見返峠とパークサービスセンターと畚岳(1577m)
岩手山
パークサービスセンターと岩手山
近頃はSNSが発達し、様々な情報が交錯し、簡単に登っている方の情報だけを見ると、誰でも行けそうに感じることもあるかもしれません。しかし、樹氷の季節には天気が安定する日はそう多くはありません。麓は天気が良くても、標高が高くなると、気温が低くなると同時に、八幡平特有の平らな地形は、風の影響を受けやすく、雪が降っていなくても、地吹雪のようになる時もあります。強い風により、登りの際についたトレース(足跡)も、帰る頃には消えていることが多くあります。しっかりとした冬山装備はもちろんのこと、地図読み、地形読みの技術、寒さの中歩き続けられる体力の充実などが必要になってきます。不安があれば経験者やガイドに同行してもらう、単独は避ける、など安易な入山は禁物です。


 
私の冬山の必携は、里山であろうと、スコップ、ツエルト(簡易テント)、ガスバーナー、地図、コンパスです。大自然と向き合うとき、謙虚に、真摯に向き合うように心がけています。みなさんに、まだまだ素敵な雪景色をお届けできたらいいと思っています。