アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、十和田八幡平、三陸復興、磐梯朝日国立公園があります。
秘境・絶景『首崎(こうべざき)』
2022年06月22日
大船渡
東北地方環境事務所
こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
とうとう先週梅雨入りした北東北ですが、先日梅雨の晴れ間に大船渡市の秘境"首崎(こうべざき)"へ行ってきました。首崎は三陸復興国立公園の特別地域に指定されてはいるものの、アクセスの悪さや情報の少なさが原因なのかあまり観光客が訪れることのない場所です。しかしながらその景観は得も言われぬ素晴らしさで、正直なところ内緒にしておきたいスポットと言っても良いほど。先端まで到達するには歩いて行くしか方法はありませんが、だからこそ感じる大地の鼓動や生命力に身も心も元気をもらえるのです。
海抜110メートルの灯台が建つ先端に立って南側、越喜来湾(おきらいわん)を望んだ画です。連なる半島が太平洋に突き出ている様子がわかります。学校の教科書で「リアス海岸」を習ったとおりギザギザですね。
北側は吉浜湾(よしはまわん)になります。海上に線のようなものが見えますが、定置網のブイが並んでそう見えます。海中には魚を迷い込ませる迷路が張りめぐらされているんですよ。100メートルもの高さから見るとさながら地上絵ならぬ海上絵ですね。
先端を後にし、振り返った画です。左側てっぺんに灯台が鎮座しているのがわかりますでしょうか。現代の灯台はクリーンエネルギー化が進み、太陽光や波力などで生まれた電力を使っているものが多いそうですが、首崎灯台の手前に電柱が2本見えますね。これはかつて送電線を渡していた電柱で、首崎灯台もすでに送電は受けていないので全く使われていないコンクリートの柱がただ立っている、という状態です。
この2本の他、半島全体に建てられている、使われていない電柱の撤去工事が今年行われることになりました。国立公園内での行為を様々な目線で確認し、工事施工者や地元の方々と調整することも各地にいる現地事務所の仕事です。
昭和33年に初点灯した首崎灯台。道無き半島に当時の技術で十何本もの電柱を建てたご苦労も相当なものだと思いますが、撤去する作業も大変なことです。運搬車両を入れずに手作業で電柱を切り刻んで撤去する場所もあります。また、灯台までの歩道沿いには指定植物であるマルバダケブキの大群生地があり、毎年6月半ばには地元の愛好家たちが楽しみに集まります。工事効率も考慮しつつ、この群生地はじめ自然環境への影響が最小限でなくてはなりません。
無事に電柱が取り払われたあとのここ首崎の景色を来年お届けしますね。
《一面に黄色輝くマルバダケブキ*画面に収まりきりません!》