アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、十和田八幡平、三陸復興、磐梯朝日国立公園があります。
田束山(たつがねさん)へ行ってきました
2022年05月10日
大船渡
東北地方環境事務所
こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
ゴールデンウィークはいかが過ごされましたか?三陸は前半の4月末は冷たい雨ところにより霙・雪でしたが後半の5月はカラリとした晴天に恵まれレジャーを楽しまれているご家族たちをあちこちで見かけました。
連休は身体も財布も緩みがち、今週から気を引き締めて業務に勤しまなくては...ですね。
《山頂からの眺め 歌津・志津川方面》
晴天の下、連休明け最初の国立公園巡視へ行ってきたのでその時の様子をお届けします。
場所は宮城県北部気仙沼市と南三陸町にまたがる田束山(たつがねさん)です。
気仙沼市を管轄する当所とパークボランティア、そして南三陸町を管轄する石巻自然保護官事務所とヒアリングや意見交換などをしながらの合同巡視をしました。
田束山は2015年に現在の三陸復興国立公園に編入されるまでは南三陸金華山国定公園に指定されていました(1979年)。ツツジの山として知られリアス海岸を一望できる気仙沼市きってのビュースポット。また古くから山岳信仰の霊峰で奥州藤原氏も信仰していたと伝えられています。
僧たちの修行の場であったことを伝える"行者の道"で登頂を目指し、南三陸町側の樋の口からスタートです。沢沿いに苔むす岩々や木道、吊り橋などを進むとかつての修行場の厳かな雰囲気を感じます。
《ゆらゆらニリンソウが見送ってくれました》
厳粛な雰囲気の杉林のしっとりとした道を過ぎると、歩道沿いをアジサイが縁取る明るいカラマツ林のエリア、活き活きとしたケヤキの樹林帯など様々な表情を楽しめます。植生も豊かなので小さな生き物との出会いもまた楽しく、季節を変えて訪れたくなる散策路です。車でらくらく登頂のできる田束山ですが、行者の道を徒歩で登るのがオススメです。
《春にだけ現れるビロウドツリアブ タイミング良く休憩中を激写!》
いよいよ山頂。例年5月中旬が見頃とされる山頂のヤマツツジ群ですが、5月9日は5~6分咲きといったところでした。今十分に膨らんでいるつぼみたちがはじけ開き、燃えるような朱色を拝めるのはあと1週間ほど先でしょうか。
山頂からは三陸復興国立公園南部のリアス海岸を一望できます。快晴であれば北は大船渡市の綾里崎(直線距離約45㎞)、南は石巻市の金華山(直線距離約50㎞)までもが肉眼で確認できます。
海岸線のイメージが強い三陸復興国立公園ですが、ここ田束山も飛び地でその一部に指定されています。山頂からの雄大な眺め、山岳信仰で栄えた霊峰。ひと味違う三陸復興国立公園をお楽しみください。