東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

しぶき氷、蓮葉氷、アニマルトラッキング、冬芽、野鳥観察

2022年01月26日
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

雪の季節は楽しみでもありますが、時には脅威となって我々を脅かします。

それでもやはり、雪の季節はわくわくしますね。

厳冬期の十和田湖畔は、厳しくも美しく、キリリとした空気に包まれています。此処では、生きている実感、生かされている感謝が心からわき上がってきます。

風と水が織りなす風景、しぶき氷が出来はじめています。

手前の凍った部分が波に砕かれて蓮葉氷(はすばごおり)になります。

暖かい日は、何事もなかったように消えてしまうこともあります。

写真は同じ場所の移り変わりです。

前回ご紹介した、通称「乙女の像」と岩手との関わりを更に紹介します。

前回の日記で、カメラを構えた私が台座に写っているのを発見できた方はいらっしゃるでしょうか?

(前回の日記)http://tohoku.env.go.jp/blog/2022/01/post_838.html

二人の乙女をしっかり支えている台座の素材は、折壁石という折壁花崗閃緑岩でできています。

(折壁は岩手県一関市室根町にある地名)

閃緑岩は地球の古い地質から出てくるもので、北上山地、北上山脈の南の尽き果てる所で地表に現れたのではと推測されています。東京の有名デパートの床や壁、国会議事堂にも使われていて、現在は採り尽くしてしまいほとんどないそうです。

高村光太郎が岩手県の山荘にこもっているということで、設計者が配慮したのではとも考えられています。

「乙女の像」に至る歩道は深い雪に覆われ、除雪がされていない箇所は歩くのが困難となっています。

しっかり装備をすれば、楽しみも倍増です。

外輪山に日が沈み始めます。

ふかふかの雪に、ずっとこのまま抱かれていたい気分です。

夕暮れ時に十和田湖湖畔の冬を満喫する二人

訪れる人の少ない湖畔は、動物達が生き生きと活動している様子が見てとれます。

テンかイタチが、湖畔で何か餌を探して彷徨っているのでしょうか?

大きい足跡は私の足跡です。

湖畔では、花咲く日のためにしっかり準備をしている冬芽の様子は、とても愛おしいです。

寒さを耐えて耐えて咲くからこそ、咲いたときの喜びはひとしおです。

マンサクの花芽の観察を始める時期となりました。

まだまだ固く蕾を閉ざしています。2022/1/4

イガイガしたものはマンサクメイガフシアブラムシによる虫こぶです。

※虫こぶ:虫癭(ちゅうえい)とも言われ、昆虫や細菌によって新芽や花芽、葉芽などが異状に成長したもの。

まだ小さなハリギリが地面から顔を出しています。若芽は山菜に、成長するとトゲが無くなります。

美味しいお茶にもなるクロモジはとんがった葉芽とまん丸い花芽が愛らしい。

力強く万歳しているようなヤドリギの赤ちゃん。

春咲く花々は、暖かい雪の布団の下で、すやすやと眠っているのでしょう。

木々の葉っぱが落ちてしまった今の時期は、野鳥観察もお勧めです。

毒が無くなった事をどうやって判断するのか、ヒヨドリがナナカマドの実を啄んでいます。

楽しみいっぱいの冬の十和田湖の様子を随時お届けしたいと思います。