アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
みちのく潮風トレイルを歩きにおでんせ!~岩手県沿岸北部(久慈~山田)~
2021年12月15日今回は、これから春先にかけて「みちのく潮風トレイル(MCT)を歩いてみたいなぁ~」と思っている方へ向けて、私が担当している岩手県沿岸北部の久慈市から山田町までのエリアの特徴や、おすすめのルートをご紹介します。
岩手県沿岸の地形は、リアス海岸の入り組んだ優美な海岸線の南部と、切り立った崖が連続する北部に分かれ、北部では、高さ200mの断崖が数km続く北山崎や鵜の巣断崖など、崖の景観美を探勝できます。
1,000kmに及ぶMCTで、攻略が難しいルートが多いとされる切り立つ北部エリア。そのなかで、初めて挑む方でも楽しめる普代駅を中心としたルートをご紹介します。
三陸沿岸道路の最寄りインターチェンジを下車し、3分弱。まちなかの雰囲気を楽しむ周回ルートの出発点・潮風心地よい普代浜に到着です。商店街はレトロ感満載のアットホームな雰囲気。名物も多く、お店で買い物して普代浜でランチやおやつ時間を過ごすのもおすすめです。1時間半~2時間程で周回できるので、お散歩気分で気軽に楽しめます。
【左:普代浜北側。ベンチや芝生でまったり。 右:普代浜南側。砂浜にも下りられます。】
続いては普代駅から北方面。沿線に秘境駅として知られる白井海岸駅などの小さな駅が点在し、ルートを短く刻んだり、長く歩いたりと、自由に計画を組めるのが特徴。森~集落~まちなか~海~森と、景色が変化し飽きずに歩けます。さらに北上し野田村ルートでは、春先はカタクリなどの野花、初夏はニッコウキスゲやハマナスなどが浜辺を彩ります。3km以上もの緩やかな弧を描く海岸・十府ヶ浦も圧巻です。普代駅と白井海岸駅の間は、沢沿い歩きや川の渡渉が待つアクティビティルート。替えの靴下やタオルがあると安心です。
【野田村十府ヶ浦を望む】
最後に普代駅から南方面。波が荒れた日には通れない"これぞ潮風トレイル"な波打ち際や、勾配ある階段が立て続けにたたみかけるルート。そのぶん、登りきった達成感は格別で、いつしかクセになるかも。さらに南下し田野畑村エリアでは、深い森の谷や岩に掛けられた階段、ライト必須の手掘りトンネル...と、ワクワクがとまりません。
南北どちらもツキノワグマやタヌキなどの野生動物が暮らす豊かな森を歩くので、「熊鈴」を響かせて歩きましょう。浜辺を歩く際は、満潮干潮の時間帯を調べられる「潮汐表」があると心強いです。
【左:ネダリ浜自然歩道 右:落葉後~新緑までの間は海を望みながら歩けます】
また、もっとMCTを挑戦したいマニアの方は、山田町船越半島がおすすめ。海抜0mから一気に500m登るルートなど、崖の要素を残しつつ、リアス海岸のはじまりを思わせる南北両方の風景が味わえます。
岩手県沿岸北部を制すものはMCTを制す!?かもしれないこのエリア。まずは気軽なところから挑戦してみてください!