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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

三陸復興国立公園パークボランティア合同研修会

2021年12月09日
大船渡 坂本麻由子

こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

日ごとに寒さが募ってまいりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。12月に入ってすぐ三陸沿岸の市街地でも初雪を観測しました。いよいよ冬到来、何かと忙しい年末に備え、段取りよく仕事はもちろん、家の事も進めていきたいものです。

この日記をご覧になる方はパークボランティアについてはご存じのことと思いますが、国立公園において、自然観察会等の解説活動や美化清掃、利用施設の簡単な維持修理などの各種活動について、自発的に協力して頂ける方々を環境省はパークボランティアとして登録しています。登録されているパークボランティアは日々の活動の他、知識向上のため勉強会など受講するのですが、先日、三陸復興国立公園陸中南部地区と中部地区の合同研修会を行いました。この研修会は毎年度1回開催していて、同じ三陸復興国立公園内で活動する仲間が、お互いのエリアの見聞を広げつつ同じ学びを受ける場として、南部を管轄する大船渡自然保護官事務所と中部を管轄する宮古自然保護官事務所とが毎年持ち回りで担当し開催しています。今回は大船渡市での開催となりました。

1日目は秋田県自然保護課よりクマ被害対策専門職員の近藤さんをお招きし、クマの生態から山での活動中に事故に遭わないようにするための基礎的なことの他、集落への出没の対策などお話しいただきました。日頃からクマ鈴を付け、山では単独行動はしないなど慎重に活動しているほど私たちの身近にいるクマ。クマ対策については一般的に言われていることをなんとなく実行していましたが、専門家の話を聞き、確信を持って山行に挑める気持ちになれました。恐れ備えることは大切なことですが、好物や遭遇したときの対処法、そして臆病者の可愛らしい一面を持つクマを知ることができ、とても有意義な講義でした。

〈クマの世界でもスリムやマッチョなど体格は様々です〉と近藤さん

手前に写る黒い塊はツキノワグマ成体の毛皮です。

〈迫ってくるクマにクマ撃退スプレーをうまく向けられるか??〉


2日目は、前日の講義を頭に置いて、クマが生息する山中を実際に踏査です。舞台は地名"熊ノ入"からスタートする綾里峠(りょうりとうげ)、みちのく潮風トレイルのルートです。この時期は落葉し、とても見通しのいいトレイルなのでクマに遭遇することは難しいですが、痕跡があるか注意して歩いてみました。

〈獣の糞発見!数回分をためていて、太さからも「タヌキ」を導き出しました。〉

〈引っ掻き跡。交差しているのでクマの爪跡ではなく「シカの角研ぎ」を導き出しました。〉

〈落葉で膝まで埋まるトラバース。フカフカだけど道が消えてるので目印テープを頼りに。〉

〈絶景ポイント、大船渡湾を一目に見下ろせます。サクサク霜が下りていました。〉

こうして2日間の研修会は終了しました。今後の活動にいかしてますます活躍お願いします。

パークボランティアの皆さんはご自身の地域の美しい国立公園を守り、利用してもらうために自然保護官事務所の職員と様々な活動を行い、さらに知識を高めるため学んでいます。各地の国立公園にいらっしゃいますので運良く遭遇できたら是非声をかけて色々聞いてみてくださいね、きっと喜んで説明してくれますよ。