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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

緑の真珠 気仙沼大島

2021年11月12日
大船渡 坂本麻由子

こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

三陸海岸へも秋がやってきましたが、早くも冬の気配を感じはじめました。

業務で国立公園エリアやみちのく潮風トレイルルートの巡視を行っているのですが、本日は宮城県気仙沼大島の秋をお届けします。皆さんのイメージする「秋色」とはちょっと違うかも知れません。

気仙沼大島は最近ロケ地となったテレビドラマの放映がありその効果で訪れる観光客が増えています。

この日も一組のご夫妻がロケ地になった田中浜を訪れていました。

気仙沼大島は東北最大の有人島で、豊かな海に囲まれ島特有の風土が感じられる気候も人情もあったかい土地です。そんな気仙沼大島の特産品と言えば冬の食卓を彩る「ゆず」です。鍋料理をはじめ、ジャムにお茶にお風呂、あったかく過ごす冬の必需品です。島中で見かけるゆず畑では間もなく始まる収穫を待つゆずたちが黄色く輝いていました。私も毎年ゆずジャムを大量に作って楽しむので、この時期を首を長くして待っているのです。

秋冬の木々は紅葉後落葉し、さみしいイメージがあるでしょうか。しかし気仙沼大島は海に囲まれていて比較的温暖なため、海岸特有の常緑の照葉樹が多く見られ、冬でもいきいきとした緑に囲まれます。気仙沼大島出身の詩人 水上不二が大島を「緑の真珠」と詠ったのも納得です。

サザンカが咲き始めていました。

遊歩道沿いではミヤマシキミが鮮やかな赤い実をたくさん付けていました。

赤い実だったらシロダモも負けてはいません。

いかがでしたか。燃えるような紅葉風景とは違った秋景色ですよね。

気仙沼大島ぐるっと一周約22㎞はみちのく潮風トレイルのルートになっています。冬の運動不足に備え、1日かけて歩くのにちょうどいい距離ですので秋の気仙沼大島ハイキング、おすすめですよ。

最後に、ちょっと珍しいものをご紹介します。

三陸海岸は大昔から地震津波の被害を受けてきた地域です。先人たちが未来の住民へ向けてその教訓を伝えるためにこれまでたくさんの石碑や記念碑を各地に残してきました。その石碑たちの中でもとりわけ珍しい、英語で訴える石碑がここ気仙沼大島にはあります。

"MEMORIAL OF THE EARTH QUAKE AND TIDAL WAVE"とあります。通常の石碑のこの碑銘部分には"震嘯記念"や"海嘯供養塔"などと刻まれています。なぜこの碑は英語で書かれているのでしょう。色々調べているのですが、まだ明確な答えに行き着けずにいます。

この石碑は気仙沼大島の小田の浜の少し北、長崎という地にあるものです。気仙沼大島を訪れた際には是非探して解読してみてください。