ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年09月16日被災地に癒やしの青紫の花

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

三陸でも稲刈りが始まり、木の実や果実が食べ頃のなにかと忙しい秋がやってきました。

今日は被災地で晩夏から秋にかけて目を楽しませてくれる素敵な植物をご紹介します。

【2021/9/5撮影】

きれいな青紫色の花を咲かせるこの植物は『ミズアオイ』といいます。淡水に生える植物で、花期は8~10月、肉厚の葉はハート型で特徴的です。このミズアオイ、環境省レッドデータブック2020では準絶滅危惧(NT)に分類されていますし、いわてレッドデータブックでもAランクとされ、とても希少な植物です。古くから日本全国の水田・湖沼などで親しまれていた植物でしたが近代の水路の改良や、除草剤が使用されるようになってから数が激減、簡単に目にすることができなくなってしまったとのことです。

人間たちの都合で姿を消してしまったミズアオイですが震災後、岩手・宮城・福島の被災地各地で復活していると話題になっていました。私が最初に耳にしたのは震災翌年2012年、福島県の楢葉町のミズアオイでした。ミズアオイの種子は底泥や土壌中で休眠し、適した環境が整うまで待つという、「埋土種子(まいどしゅし)」でした。大津波で大規模な土壌の攪拌がおき、復興工事の手の回らない場所で現れた湿地環境でここぞとばかりに大発生したのです。今咲き誇っているミズアオイの種は、震災前の街の状態に開発された時に埋まったものなので、40年以上も間泥の中で眠っていたことになります。

復興工事は防潮堤や宅地、主要道路などが最優先で行われてきましたが、年月が進むにつれ以前の生活環境に戻すため隅々まで区画整理や整地がなされてきました。実は、震災後せっかく復活したミズアオイたちも再開発・復旧のため埋め立てられ再び眠りにつかされた場所もあるそうです。今までの生活を取り戻すための開発がもちろん最優先で大切ですが、生態系もうまく守れる、共存できる方法なども考えていけたらよりよい未来が待っているのではないかと思いました。

「ミズアオイ復活!」と嬉しい話題ではあるのですが、いろいろ考えさせられました。とはいえ、ミズアオイの埋土種子戦略のすごさは被災地に元気と勇気を与えたことには違いありません。未来に残せる何かは今どう行動するかにかかっていますね。考えることを怠らず、日々精進して参りたいと思います。

今回撮影したミズアオイ群生地は、岩手県釜石市片岸町の新しい防潮堤沿いにある遊水池です。片岸町では震災の前からミズアオイを守ろうと活動してきた方々がいるそうです。今はこの遊水池に部分的に生育している状態ですが、ミズアオイで一面が覆われる景色が今からとても楽しみです。

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