アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
ついに!登山道合同保全作業!
2021年09月13日こんにちは。
羽黒自然保護官事務所の風間彩野です。
磐梯朝日国立公園では、飯豊連峰および朝日連峰において、環境省を含めた国、県、市町村および地域に深く関わる民間団体が集まり、飯豊連峰保全連絡会および朝日連峰保全協議会を立ち上げています。
人間が立ち入り、登山道を踏みつけることで荒廃していく自然を復元させ、原始性の高い飯豊連峰、朝日連峰の自然が長く維持されるように、その保全活動を推進することを目的に取り組みを行っています。
毎年夏から秋にかけて、それぞれの地域の荒廃部分を復元させるために合同保全作業を行っています。この現地での作業のために、前年の冬頃から計画を立てていきます。
今年は9月4日(土)に、飯豊連峰 梶川尾根にて登山道の合同保全作業を行いました。昨年は新型コロナウイルスの影響により中止になりましたが、今年の飯豊連峰では人数を制限し、泊まる小屋にも定員を設けるなど感染対策を充分行った上で実施しました。
当日の朝はまだ日が昇る前から出発しました。あいにくの雨。私の晴れ女パワーはどこに行ったのでしょう。
飯豊連峰は急登、鎖場、ガレ場など、危険な場所が沢山あり、難易度は高いです。特に登山口から主稜線までのアプローチに時間がかかり、かなりの体力と同時に精神力も必要です。
山脈を形成している岩盤の性質の影響により崩れやすい登山道になっています。人が通ることで踏み固められ、その後雨が降ると踏み固められた道を勢いよく水が流れます。そしてスピードの速い水の流れにより登山道が削られていきます。削られた道は他の場所よりも歩きやすいのでより多くの登山者がそこを通り、また踏み固められ・・・の悪循環が発生し登山道は荒廃していくのです。
梶川尾根の上部に出ました。いよいよ保全作業が始まります。
梶川尾根の上部はこのような白い色の登山道であり、これがとてももろく崩れやすいのです。今回の作業は、ヤシ製の土嚢を使って土砂をためることです。流れてきた水の中に含まれている土砂を、ヤシ製の土嚢で止めます。そうすることで、削られて窪んでしまった登山道に少しずつ土砂がたまっていきます。
ヤシ製の袋に土とヤシ繊維を詰めていきます。
そして、削れた場所に、階段のように置いていきます。
そう、この日は雨・・・。でも悪いことばかりではありません。登山道を削っていく水の流れが実際に見えるので作業がしやすいのです。先ほど作ったヤシ製土嚢の階段に水がたまっている様子を観察することができました。
今年度は少人数でしたが、登山道保全に向けて一歩前進することができました。10年後、20年後にこの場所の荒廃が少しでも収まってくれるといいです。
来年は大人数で作業ができたらいいですね。
登山中にヤシ製土嚢の様なものを見かけましたら、このような活動が行われているということを思い出していただけますと幸いです。
これにて今年度の飯豊連峰合同保全作業は無事に終了しました。
ヤシ繊維やヤシ土嚢の荷揚げをしてくださった方、合同保全作業に参加してくださった方、本当にありがとうございました。