アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
無人島で出会った『いきもの』
2021年09月01日こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
岩手県釜石市の三貫島へ定期調査へ行ってきました。
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釜石市の東北東9km、箱崎半島の南海上に位置し、標高128m、周囲約4kmの無人島であり、島の周囲は断崖をなしており、また、浜は岩礁となっている。島全体が国立公園特別保護地区に指定(昭和30年5月)され、暖地性のタブノキを主体とした自然林が良好な状況で保全されており、オオミズナギドリ、ヒメクロウミツバメ等の海鳥が繁殖している。なお、三貫島は、「三貫島オオミズナギドリ及びヒメクロウミツバメ繁殖地」として国の天然記念物に指定(昭和10年12月)されている。
国設三貫島鳥獣保護区三貫島特別保護地区指定計画書より
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三貫島への上陸は一般的には禁じられています。
無人島とは聞くけれど、どんな島なのだろう?
そう思われる方も多いことでしょう。
今日の日記は三貫島の「いきもの」にフィーチャーしてお届けします。
特定の鳥の繁殖地として保護されている島ですが
その鳥たちの他にどのようないきものが住んでいるのでしょうか。
*地面を歩く・這う系統*
【左】カタツムリの殻を発見。中身は空っぽでした。左巻きですね、ちょっと珍しい。
【右】大きなアリを発見。ムネアカオオアリでしょうか。このほかにも数種類大小のアリを見つけました。
【左】可愛らしいきれいな青虫を発見。シロチョウ科の幼虫でしょうか。
【右】ふさふさの毛をまとった毛虫を発見。蛾の幼虫でしょうか。
*羽ばたき系統*
【左】枯れ葉のようなガを発見。緑の葉っぱの上では目立ちます。
【右】小さな紫色のチョウがたくさん舞っていました。ルリシジミでしょうか。
【左】おもしろい模様の羽を広げてポーズする虫を発見。ハエの仲間でしょうか。
【右】涼しげに鳴くミンミンゼミ発見。抜け殻は見つけられませんでした。
この他、タブノキを好むアオスジアゲハや
秋らしくトンボも数種類確認できました。
滞在時間4時間で、出会えたいきものはこのくらいなので
普段の山中で見かけるいきものの数と比べたら少ないですよね。
生息する獣類がいないためでしょうか。
本土から9㎞も離れた孤島までどのように虫たちが移動してきたのか、
この地で孵化したのか、など想像するのもおもしろいですね。
島へ向かう途中の海上ではこの辺で生まれ育った
若鳥たちをみかけました。
オオセグロカモメの若鳥。
多くの若鳥は巣立っているこの時期、この子はまだ
お母さんカモメの近くを離れられずにいるようでした。
遠くからでもその存在感に目を惹かれます。
いかがでしたでしょうか。
簡単に行ってみることはできない島ですが
どのような環境がそこにあるのか、少しでもお伝えできればと思っています。
次の上陸は冬です。