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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

気仙沼大島のハイキングコース

2023年02月10日
大船渡 坂本麻由子
こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
立春も過ぎ、春の気配を感じることが多くなってきました。
今日のお昼ご飯はお手製バッケみそ(蕗みそ)のおにぎりでした。
皆さんはどんな時に「春がきたな」と感じますか?
 
寒さが和らぐと、身体を動かしたくなります。
三陸復興国立公園を楽しめる海岸沿いの遊歩道が各地にありますので、ハイキングはいかがですか?
来訪者が増える春を目前に、これまで長い間通行止めや迂回路だった宮城県気仙沼市大島の遊歩道の工事が完了しました。
東北沿岸に伸びるみちのく潮風トレイルのルートにもなっている遊歩道なのでたくさんの人たちに楽しんでいただけることと期待しています。
小田の浜(こだのはま)海水浴場と気仙沼大島最南端の龍舞崎(たつまいざき)を結ぶ、延長約5.4㎞の遊歩道が今回の工事箇所で全て国立公園内です。
先日歩道管理者の宮城県、気仙沼市と一緒に全線を最終確認として歩いてきました。
急な斜面も歩きやすく
土の急斜面だったところが歩きやすくなりました。
海の見える場所にテーブルセットが置かれました
海の見える場所にテーブルセットが置かれました。
木製の踏み板は濡れると滑りやすいので滑り止めが施されていました
木製の踏み板は濡れると滑りやすいので滑り止めが施されていました。
路面が崩れていた場所が生まれ変わりました
土が流れて極狭だった歩道がこんなに幅広に。
土の斜面に新たに作られた階段
急斜面で下るのが怖かった場所に階段ができました。
歩道や手すり、ベンチやテーブルなど一新されている場所もありますし、これまであったものに手を加えられて生まれ変わった場所などもあり、全線安心して歩けるようになりました。
 
 
自然の中の遊歩道ですから、資材や工具を運び入れるだけでも大変な苦労です。
作業中でも通りかかる人たちに丁寧に対応してくださり、本当に感謝致します。
生まれ変わった遊歩道と周囲の自然を大切に、歩くことを楽しんでいただきたいと思います。
 
2月のこの日はポケットにカイロを忍ばせて歩くくらいまだ寒く、春なんてまだ先だねなんて言いながら歩いていましたが、寒さを乗り越え春を迎えようとしている植物たちの姿に励まされました。
 
正月飾り、門松に使われる縁起木「ユズリハ」。
南東北以南の方には珍しくもないと思いますが、このユズリハの北限は宮城県と言われています。
私が生まれた岩手県大船渡市では見かけたことがありません。
大船渡自然保護官事務所の管轄範囲は宮城県気仙沼市から岩手県大槌町まで。
多くの植物の北限(時には南限も)のせめぎ合いを見るのでとても勉強になります。
ちなみに北東北より北の雪の多い地域ではエゾユズリハというユズリハがあるそうです。
北東北沿岸部は温暖で雪が少ないためにエゾユズリハも見かけません。
赤い葉柄と大きな葉が目立つユズリハ
この遊歩道でこの時期1番目に付くと言ってもいいシロダモ。
これも岩手県ではほとんど見かけません。
風で葉が裏返ると真っ白に光って、遠くからみると白い花が咲いているようにも見えます。
シロダモにはこの時期真っ赤で小さな実が付きます。
シロダモの花は多くの植物が咲かせる時期から大きくずれて晩秋に咲きます。
受粉率を上げるためなのか、シロダモなりに作戦があってのサイクルなのでしょう。
花が咲いてからじっくり1年かけて実を育てています。
晩秋にはその年咲いている花と昨年咲いた所にできた実を一緒に見ることができます。
ちょっと珍しいですよね。
シロダモの葉と赤い実
シロダモの実と受粉後の雌花
シロダモの実の上には受粉後の雌花が。
シロダモの木に野鳥の巣がありました。海が望める特等席です。
豊かな林地は野鳥たちの楽園ですね。
シロダモの赤い実に囲まれた野鳥の巣
少し脱線してしまいましたが、歩きやすくなった小田の浜・龍舞崎遊歩道を紹介させていただきました。
今年の春は気仙沼大島へお出かけください。お待ちしています。