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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

ご案内します  「みちのく潮風トレイル」*鍬台峠(くわだいとうげ)前編

2020年06月01日
大船渡 坂本麻由子

こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

5月27日にみちのく潮風トレイルルートの現地巡視へ行ってきたので

おうち時間で楽しんでいただけるよう「想像旅行」形式でご報告します。

お待たせしましたシリーズ第二弾、今回は鍬台峠(くわだいとうげ)前編 へご案内します。

鍬台峠は岩手県釜石市と大船渡市の境にまたがる人気上昇中の浜街道の一つ。

三陸浜街道は現在の国道45号の旧街道にあたります。

現在では三陸沿岸道という大変便利な道路もでき

舞台である鍬台峠は真下を"鍬台トンネル"が貫き、車ではものの3分で通過できてしまいます。

しかしみちのく潮風トレイルは"あえて"歩くのです。

大船渡市の吉浜(よしはま)という地区に峠へと繋がる入り口があります。

今日はこちら大船渡側から釜石側へと北上しましょう。

入り口過ぎてすぐ現れる分岐。

楽しくおしゃべりしながら歩いているとついついまっすぐ行っちゃいませんか?

 そう、左上ですよ。

 目印のテープも、杭も、恒例のクマへの注意看板も設置してあります。

 

 ちょっと勾配がきついですが頑張っていきましょう。

凜とした杉林を縫うように進みます。

所々倒木がありますが、乗り越えたりくぐったりするのも楽しいものです。

この先ルートがちょっとわかりにくいため幹にくくりつけていたテープ(右から二本目の木)、

左上を示している矢印のように見えますね?

そう、ルートは左前方へ向かうので工夫して表現したんだなぁと感心したのですが・・・

近づいてよく見てみると、樹皮の隙間にテープが挟まって止まっているではありませんか!

風の仕業か、通りがかったハイカーの仕事か・・・

どちらにしても、にんまり嬉しくなる発見でした。

さてさて、ルートに戻り、飛び出てきたカナヘビちゃんと戯れて進みます。

いままで乾いた茶色い地面をカサリカサリと歩いてきましたが、

小さなピークを境にガラリと空気と色が変わりました。

小さなピークを下るとそこにはきれいな清流が。

少し盆地になり地面が水分をため込んでいるのでしょう、足元も緑に輝いています。

清流を渡った先にあるトレイルの杭にクマさんのかじった痕がありました。

水辺にクマさんはよく立ち寄りますから。

クマさんの生活場所を通らせてもらいますので

存在をわかってもらえるように鈴を鳴らし、おしゃべりをし、注意しながら進みます。

その後わたしたちが『迷いの森』と呼ぶ赤松が多い雑木林帯を進んでいきます。

激しく絡み合う木々の生命力に圧倒されます。

この一帯は絵本の世界に迷い込んだような錯覚を起こす、幻想的な空間

ついつい時間を忘れ時を過ごしてしまう『迷いの森』

ちゃんとルートを見失わないように目印のテープを多めに付けてありますのでご安心を。

中間地点鍬台一里塚へ到着。

ここはクリンソウ群生地で、豊かな水分があることを証明しています。

まだ下の段が咲き始めたばかりのよう。もう少し先まで楽しめそうですね。

この日はクリンソウだけでなく、レンゲツツジも満開で迎えてくれました。

瑞々しく美しいレンゲツツジ、近くで見るとこの淡い色が奇麗すぎてため息が出ます。

一里塚周辺はクリンソウだけではなく、ワラビの群生地でもあります。

この日のワラビはまだかわいい膝丈でしたが、梅雨が明ける頃には腰の高さまで伸び

道がわかりにくくなる管理難関エリアです。

この日嬉しい発見が!

真ん中にすっと伸びる、これ『道』じゃないですか?

歩くことによって道ができる 本当ですね。

みちのく潮風トレイルでここを楽しむハイカーが増えたことで踏み跡が道になったのです。

毎年夏に汗だくになりながらここのワラビを刈る私たちには感動の発見!

では峠越えといきますか。

次回後編で釜石側へご案内します。

今回もお付き合いいただきありがとうございました。