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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

吾妻の瞳

2020年06月24日
裏磐梯 田中謙行

「吾妻の瞳」

こんにちは。裏磐梯自然保護官事務所アクティブ・レンジャーの田中です。

夏至の日に、規制解除されました「浄土平~酸ヶ平避難小屋~一切経山」ルートで一切経山ルートで

登ってきた。

*注意:「浄土平~一切経山」の直登ルートは、熱活動が続いている大穴火口に近いため規制されています。

まず最初に出迎えてくれたのが、浄土平湿原(標高約1600メートル)の「ワタスゲ」の群生。

一切経山に向けて、いざ!出発。

蓬莱山の坂を登る途中には、小さい雪塊が残っていたり、

岩場のところどころには、「イワカガミ」のピンク色の可憐な花が観られた。

避難小屋の前を通って火山礫のザラザラした坂道の途中で振り返ると、東吾妻山と鎌沼が「山頂まで、あともう少し」と後押しをしてくれているようだ。

山頂間近の右手には、吾妻小富士。

1893年(明治26)に起こった一切経山の噴火では、噴煙が直上2000m、浄土平には約1mもの火山灰を堆積させたといわれている。

山頂に近づくにつれ、そのすさまじさを肌で感じる。

不安定な砂礫地を登りつめ山頂(1949m)に着くと、だんだん雲行きがあやしくなり霧が出てきて気温もグンと下がってきた。寒いので雨具を羽織る。


霧の切れ間に眺望できたのは「吾妻の瞳」こと五色沼。

別名「魔女の瞳」とも呼ばれていて、コバルトブルーの沼で、名前の通り太陽光の具合で刻々と微妙に色が変化する神秘的な沼。

この日はあいにく霧がたちこめていて、残念ながら色の変化までは確認できなかったが、肉眼では写真よりも、もっと青々とした色だった。

深い青色を堪能したところで、「吾妻の瞳」に別れを告げて、来た道を戻る。

なんと、酸ヶ平湿原に降りてきたころには、すっかり霧も晴れていた。

酸ヶ平湿原から鎌沼を通り姥ヶ原のお花畑を経由して浄土平まで帰る事に。

酸ヶ平湿原の木道。

帰り道に見送ってくれた花たちを紹介。

まずは、仲睦まじい「チングルマ」。

木道のまわりや姥ヶ原では群生していた。

輝く白の花、雄しべが可愛い「ツマトリソウ」。

最後は、風にそよそよして手を振ってくれているような

「マイヅルソウ」たち。

浄土平は、近くで噴煙が上がっており地球の鼓動がおおいに肌で感じられる場所。

是非、地球の鼓動を感じに、そしてコバルトブルーの「吾妻の瞳」と可憐な花たちに逢いに一度は来ていただきたい所である。

また、浄土平の周りには、温泉もたくさんあり、散策の帰りには、心身ともに癒してみるのはいかがだろうか。

もちろん、私も帰りには温泉にゆっくり浸かり心身ともにとろけた日になった。

では、このへんで今回の日記は、おわり。