アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
令和の風
2019年12月25日降雪が少ない日々が続く、令和元年の年の瀬です。
今年は雨も少ない一年でしたが、そんな影響は自然界でどう作用するのでしょうか?
夏の間歩いて行けた恵比寿大黒島の前に、水量が増えて小さな湖が出来ていました。
【12月中旬頃の恵比寿大黒島】
先日、管理事務所の玄関ではない場所からコンコンと音がしました。
誰か用事があって壁をたたいていると思って音のする方の窓から外をのぞくと、
アオゲラが壁をつついていました。私に気付いたようで慌てて飛び去って行きました。
アオゲラは一年中事務所の付近にいて、近くの木をドラミングしているのが見られますが、
事務所の壁もその標的になっていたようです。
【夏のある日、事務所前の桐の木をつつくアオゲラ】
雪の少ない湖畔を歩いているとミズナラの実は昨年の半分も無く、ブナに至っては皆無です。
東北森林管理局の調査によると、北東北の今年のブナの実は、福島県以外は大凶作とのことです。
そんな事が、ツキノワグマの出没回数を増やしているのでしょうか?
私自身の通勤途中のツキノワグマの遭遇回数は3回でした。
また、昨年から冬になると毎日のように野生のキツネが現れ、車に近づいて餌をねだるような仕草をします。人間に餌付けされた野生動物は、やがて自分で餌を獲れなくなり、
人間に依存し車に近寄る事で、交通事故で命を落とすこともあるようです。
かわいいと思っても食べ物を与えないことが、結局は動物の為ですので、
見かけても絶対に食べ物を与えないようにお願いします。
【発荷峠に出没するキツネ】
野生動物は、生きていくことに必死です。
湖畔では、ナナカマドやヤドリギの実が鳥に食べられることなく大量に落ちていましたが
どんな理由があるのか思いをめぐらしてみます。冬でも風の無い日はゆっくり湖畔散歩もいいものです。
(風があると体感気温はぐっと下がりますので、ご注意ください。)
【今年のどんぐりは昨年の半分もありません】
そんなこんなしているうちに再び十和田湖は雪景色に戻りました。
【ハートの形に見えると言われる紫明亭展望台よりの十和田湖】
様々な思いを抱きながら令和の風に吹かれ過ごした一年が終わろうとしています。
どんな風が吹こうとも、あるときは風に乗り、あるときは風に耐え、
令和2年目も前に進んでまいりましょう。
今年も私の拙い文章と写真に目を通して下さり感謝申し上げます。
良きお年をお迎えください。