アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
石巻・川のビジターセンター 園庭緑化作業
2019年12月19日石巻自然保護官事務所 晴山です。
日差しが暖かくも北風が肌を刺す11月17日、12月8日の2回、「石巻・川のビジターセンター」の園庭にて、緑化作業を行いました。
ここでの緑化作業の定義 : 川のビジターセンターの園庭に「人工林」を造成する。
主旨:『自然の地域性を尊重し、また、種や若木から育てることで自然回復の順序を尊重します(自然界では、始めに草原ができ、やがて成長の早い木が大きくなり、徐々に種類を変えながら森になっていく)。今後何十年も掛けて移ろっていく、この森の最初の一歩。』
昨年は、川のビジターセンターがある石巻市北上町内の北上小学校の5、6年生全員に参加して頂き、購入した5年から8年程度の若木を30本ほど植樹を行いましたが、今年は、同校の学年問わず任意参加の形式とし、興味を持ってくれた児童達が集まりました。
行ったのは、樹木の種蒔き、ヤナギの若木の植え付けです。
あくまでも『自然の地域性を尊重』なので、種はビジターセンター近くの林でケヤキやケンポナシ等の種を自分たちで拾い、プランターなどは使わずに地面に直蒔きを行いました。
いわゆる「秋まき」というもので、春の暖かくなる時期を待って種蒔きをするよりは発芽率が高いらしいですが、直蒔きのため、どれくらい発芽してどれくらい他の植物との競争に勝ってくれるのか! 数年後が楽しみです。
また、ヤナギの若木は元々ビジターセンターの園庭のあちらこちらに自生していたものを挿し木にしてバケツで3ヶ月程育成したものや、園庭以外の箇所から採取したもの移植しました。
↓種拾いの様子
まずは、成長の早いヤナギが数年で繁茂し、それを追うようにケヤキが10年、15年掛けてゆっくり育っていくでしょう。ヤナギが繁茂しすぎてケヤキに日が当たらないようであれば間伐も必要かもしれませんね。
そんな心配をしないといけない位に鬱蒼とした林になってくれれば良いですね。
ちなみに、造成工事によりもちこまれた土が比較的乾いている土なので、湿気を好むケンポナシには少しキツいかもしれませんが、やってみなくちゃわからない!
↓種蒔き&移植の様子
5年後、10年後、20年後この「人工林」がどのような姿になっているか。草木が生い茂り、昆虫、小動物が集まり、それを捕食しに近接する翁倉山のイヌワシがやってくる、なんて事になればすてきですよね。w
私はそのころは、自力で園庭を見に行けないくらいお爺さんになってるでしょうから、種蒔きをしてくれた児童達に成長を見守って、時には間伐など樹木達の成長の手助けをしてほしいですね。
今回の経験が、より自然に関心を持ってくれる機会になればうれしいです。
【雑学】農林水産省の定義では、林は「人工的につくられた樹木の密集地」で、森は「自然にできた樹木の密集地」だそうです。「人工林」という言葉は少し変かも?