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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

蕪栗沼の野火 春の訪れ

2019年03月11日
仙台 鎌田 和子

皆さん、こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。

国指定鳥獣保護区である伊豆沼・内沼、蕪栗沼・周辺水田、化女沼は、暖冬だったこともあり、ガンカモ類は早々に北に向かい、それぞれの沼は静かになり、ちょっと寂しく感じます。でも待ち遠しかった春を告げるウグイスの声が沼の周りに響くようになりました。

 

そして、この季節の大切な行事が野火です。3月10日に行われた蕪栗沼の野火を確認してきましたのでその様子を紹介します。

 着火地点に大崎市の職員が待機し、延焼を防ぐ防火帯では消防団が放水、準備が整った午前10時、蕪栗沼本体の南側のヨシ原の3ヶ所から、点火です。燃えだしたところは黒い煙とともに炎が上がり、堆積物や湿っているところは、白い煙、中々火が付きません。離れたところから確認していても、枯れたヨシがカラカラと燃える音がし、煙とともに灰が高く高く上がっています。

沼の野火は3年サイクルで湿地を3地区に分けて実施することから、この場所は3年ぶりとなります。

 

蕪栗沼の野火はなぜするの?

蕪栗沼は遊水地として豊かな湿地生態系を成しています。大雨等で増水した時は、沼内に生えているヨシや倒木等の漂流物が漂着・堆積したり、自生しているヨシなどが枯死し堆積し、陸地化が進み、湿地環境の維持や湿性植物の生育の支障となります。そのためラムサール条約湿地に登録されてから、定期的に野火を実施することで、湿地環境の維持と、害虫駆除、植物の枯死部を少しでも軽減することを目的に行われています。

数時間後、きれいに焼けて、ヨシ原はすっかり焼野原、計画通りに行われました。

野火の翌日、雨が降っています。春の目覚めに天からの贈り物です。

 

 

きっと、5月上旬には、焼かれたヨシ原にはノウルシ(写真)のお花畑が出現することでしょう。

 

蕪栗沼に春の訪れを感じた一日、野火に携わった大崎市の職員の皆さん、消防団の皆さんお疲れ様でした。