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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

冬の渡り鳥シーズン到来 観察においでよ!

2018年11月28日
仙台 鎌田 和子

こんにちは!仙台自然保護官事務所の鎌田です。

あちらこちらで、初雪の便りが聞こえるようになりました。ここ宮城県では、冬の使者である渡り鳥が沢山渡ってきています。渡り鳥の中でも日本に渡ってくるマガンを中心としたガン類の8~9割(18万羽~20万羽)が宮城県北部で越冬します。今日は、その渡り鳥の聖地へのお誘いです。

 

ラムサール条約湿地でもある国指定伊豆沼鳥獣保護区、蕪栗沼・周辺水田鳥獣保護区、化女沼鳥獣保護区では、11月8日現在の宮城県のガンカモ調査情報では、ガン類だけでも合わせておよそ15万羽が集まっています。昨年より3万羽少ないようですが、どこかの市や町の人口に匹敵する位の鳥たちが集まっています。

 

毎年、伊豆沼・内沼、蕪栗沼、化女沼やその周辺の沼をねぐらに周辺の田んぼの落穂などをエサに、約5ヶ月間越冬します。その間の毎日の日課の一部を観察してみませんか。

 

11月27日の蕪栗沼の飛び立ちです。日の出をバックにガン類がエサを求めて出勤です。クリックして見てね、黒い点は、みんなガン類です。

 

こちらは、11月20日の伊豆沼の日中の様子です。朝出かけたガン類が、暖かい日は日中、ねぐらの沼に戻り、羽繕いや水浴びをしていることもあります。田んぼと沼を往来しています。

 

鳥好きの方々は、とっくの昔に知っていることかもしれませんし、宮城県北部に住んでいる方々には当たり前の光景かもしれません。でも、写真のようなガン類が沢山の光景が見られるのはこの地域ならではの特別な光景です。

 

おすすめは、宮城県ならではの観察です。「朝の飛び立ち」、「ねぐら入り」です。

伊豆沼・内沼や蕪栗沼の「飛び立ち」は、沼のあちこちから数千羽、数万羽単位の飛び立ちが早朝、毎日繰り広げられています。当然、出かけたガン類は、夕方、ねぐらである沼に群れで帰ってきます。帰ってくる様を「ねぐら入り」といいます。四方八方から、大群が沼に落ちていくような姿を「落雁」といいます。日課である「朝の飛び立ち」、「ねぐら入り」はどちらも感動間違いなしだと思います。

化女沼は周囲4キロの小さなダムです。ダムの堤体での飛び立ちやねぐら入りの観察は、観察者の目の前を低空飛行するので、ここでしかみられない光景です。

 

宮城県北部でガン類といえば、代表はマガンです。他にオオヒシクイ、亜種ヒシクイ、シジュウカラガン、カリガネ、ハクガンなど、マガンほど多くはありませんが、運が良ければ、複数の種類が観察できます。

【観察にお出かけ前に】

観察時間帯:

飛び立ちの観察は、日の出前30分前には、現地入りを、ねぐら入りの観察は、日の入りの30分前、悪天候のときは早めに現地入りをしてください。

観察の服装:

寒くないように、帽子、手袋、マフラー、防寒着など、氷点下に下がったり、風が吹くだけで体感温度は下がりますので、十分な防寒対策をしてお出でください。

観察の道具:

普通野鳥観察であれば、双眼鏡、望遠鏡と思いますが、なくても十分で観察できます。まずは、五感を活かして体感していただきたいと思います。

観察の注意点:

観察前にトイレは済ませましょう。

車でお越しの際は、周囲が真っ暗なので、運転や歩行には十分に注意を。

車のライトやカメラのフラッシュで沼を照らして鳥たちを驚かさないように。

観察場所:

伊豆沼・内沼

蕪栗沼

化女沼

どこで観察しようか。計画をたてるのも楽しいものです。

魅力たっぷりのマガンの飛び立ち、ねぐら入りの観察に、ぜひお出かけしてみては、いかがでしょうか。