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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

森吉山麓高原「100年後の森づくり」

2018年10月03日
秋田 足利 直哉

秋田自然保護官事務所の足利です。

   

 9月29日(土)、森吉山野生鳥獣センター運営協議会と森吉山麓ブナ林再生応援隊が共催し、森吉山麓高原自然再生協議会の協力を得て『100年後の森づくり』と題したイベントを実施しました。

 森吉山野生鳥獣センターの立つ奥森吉と呼ばれるエリアは、ブナの森が広がり、そこに多くの動植物が暮らしています。一方で、かつて放牧地などとして利用された切り拓かれた場所を森に戻すための再生事業も行われています。そこで、豊かな森を守り、伝えることと、森を再生する活動を知って貰い、担い手を育てることを大きな目標に掲げて、先ずは『森は楽しい場所』『森っていいね!』『またこの森に来たい』と思って貰えるようにいろいろな種を蒔くためのプログラムを行いました。  

  

 先ずは、「木の実の観察会」。今年はブナもそれなりに結実しているようですが、その他にもミズキやオオバクロモジ、オオカメノキなど沢山の木々が実を付けています。その実は風に乗って実を散布したり、鳥や動物に食べられることで実を蒔いたりと様々な戦略を持っています。そんな木の実をテーマとした観察会を森吉山ブナ林再生応援隊の青木満さんに講師を務めて貰って行いました。

皆さん思っていたよりも沢山の木の実があったようで、実際に手に取ってみたり、ヒラヒラと舞わせてみたり、食べてみたりと楽しんでいたようです。

 

<観察会の様子>

  

 続いて、「植樹」。平成18年度に始まった、森林再生事業はいろいろな手法を取り入れたり、樹木医や学識者などの専門家からの助言や指導を受けたり、継続したモニタリングでデータを得たりして、効果的なやり方が見えてきているように感じます。単純に植え穴を掘って、そこに苗木を植えるだけではなく、100年後の森を意識した植樹を森吉山麓自然再生協議会事務局(秋田県自然保護課)の近藤雄樹さんに指導して貰いながら行いました。

<植樹の様子>

 そして、「クラフトとお菓子作り」。この時期はトチの実が沢山落ちています。そこでその身を少し分けて貰って、トチの実に穴を開けて、中身をくり抜いて笛を作りました。また、この時期は多くの野鳥や動物たちが木の実を食べています。特にブナは私たち人間が食べても美味しい木の実です。ブナの実を使ったお菓子作りとクラフトは森吉山ブナ林再生応援隊と森吉山野生鳥獣センターの案内解説業務を行うNPO法人冒険の鍵クーンの代表を務める村田君子さんに講師を務めてもらいました。

  

<栃笛づくりの様子>

  

<お菓子作りを遠巻きに・・>

  

 参加者は、県内各地から集まって頂きましたし、留学生や山村留学の児童たちもいました。また、イベントの内容も盛りだくさんで、いろいろな『森っていいね!』と思って貰えそうな種を蒔けたと思っていますし、それが各地へ広がるだろうと思える方々に参加して頂きました。その種がいつか芽を出し、大きく育ってこの森で行われる活動につながってくれることを期待します。

 最後に、事前準備やイベント運営に携わってくれた森吉山麓ブナ林再生応援隊と森吉山麓高原自然再生協議会の皆様、ありがとうございました。